灰色の殴り書き

昔の言葉で言うならチラシの裏です

闇夜にきらめく超闘士

25年前のあの頃。僕にとっての一番新しくて一番カッコいいウルトラマンは、鎧をまとい、黄金に輝いていた。

 

 

こんにちは、灰色です。何かいいブログのネタがないかなと思っていたところ、「今週のお題」なるものがあることを知りまして、今回のお題は「一気読みした漫画」だとのこと。

 

ちょうど最近再読ですが一気読みした漫画があったので、これ幸いということで今回はその紹介記事ということでやっていきます。

 

と、ここまで書いておいて何なのですが、この「お題」は4週間も前のやつでした。記事を寝かせてる間にお題が入れ替わったんですね。そうすると本文中にも入れない方が適切な気もするのですが、折角だしお蔵入りさせるのも悲しいので、ここに加筆して公開します。

 

ところで皆さん、ダイの大冒険ってご存知でしょうか?令和になってまさかの再アニメ化、しかも原作最後まで制作放送予定ということで、今再び大盛り上がりですよね。自分も遅ればせながら追っているのですが、やっぱり面白い。世間ではクロコダイン再評価の流れとかもあるようで、喜ばしい限りです。

 

今日はそんなダイの大冒険の原作漫画をご紹介……するわけではありません。それはそれで書きがいがあると思うのですが、あまりにもハードルが高い上にいくらでも他にやってる人がいると思うので……。(ちなみにこれを書いているとき、フレイザードの手柄を求める名台詞が横で流れています)

 

また同作の原作者といえば、そう。三条陸先生ですよね。他にも仮面ライダーWや獣電戦隊キョウリュウジャーといった名作、そして忘れてはいけない超傑作ロボットアニメ・ガイキング LEGEND OF DAIKUMARYUなどの原作者・脚本として、熱い王道の展開を描かれてきたお方です。

 

そんな同氏がかつて、別名義で原作を務められた作品があるのをご存知でしょうか?しかもそれは……SD頭身のウルトラマンが、聖闘士星矢のように輝く鎧をまとい、ドラゴンボールのような超インフレ格闘バトルを繰り広げるという、とんでもない全部盛り作品だったことを……。

 

というわけで、前置きが長くなりましたが、本日ご紹介する作品は「ウルトラマン超闘士激伝」です!

 

尚、「あらすじとキャラ紹介」から所々で若干のネタバレを含みます。十中八九どなたも気にされないかとは思いますが、もし展開を知ってしまうのを回避したい方はご承知おきください。

 

 

【作品概要】

元々はバンダイのカードダス用企画で、当時大ヒットしていた「騎士ガンダム」に次ぐSDキャラの企画を、というところからスタートしたとのこと。当初から「鎧を着たウルトラマンドラゴンボールのように激しくバトルする」という方向性は決められていたのだとか。三条陸先生は漫画原作だけでなく企画そのものを担われており、カードダス全てのデザインラフまで描かれていたというのだから凄まじい。

 

商品展開としては、カードダスこそ長く続かなかったものの、同時に打ち出したガシャポンフィギュアがそのクオリティとラインナップの豊富さから人気を博し、第17弾まで続くほどの大ヒット。鎧を着たウルトラマンガシャポンフィギュア、30代以上では記憶にある方もいらっしゃるのではないだろうか。その他にはゲームソフト、OVA(後述)なども発売されている。

 

漫画そのものは1993年~1997年、コミックボンボン誌上にて連載されており、ほぼガシャポンのシリーズと同じだけ続いた。更に、時を経て復刊・完全版が刊行され、さらに2014年にはウルトラマンメビウスを主人公とした新作シリーズ「新章」が開始・コミックス5巻分にわたり連載されるまでに至った。

 

当時はウルトラマンのテレビシリーズ放送が途切れた時期であり、ソフビなどの玩具は引き続き人気商品だった一方、ウルトラにハマってもストーリーに触れるには海外製のグレートやパワードをレンタルビデオなどで観る程度が関の山だった。そのため、ガシャポン人気と相まって「ウルトラマンといえば激伝」というピンポイントな世代が生まれたといわれている。かくいう自分も冒頭の通り、その一人だった。(もちろん直後に放送開始された「ティガ」~「ダイナ」までは全話観たけど)

 

・「闘士」と「超闘士」

「闘士」とは……「きたえぬかれた武道の達人が武装した姿」(完全版1巻より・ウルトラマン談)。「とうし」ではなく「ファイター」と読む。

 

心身を極限まで鍛錬していることが絶対条件であり、鎧をつけただけでは単なる「武装」に過ぎないと作中でも語られている。(「武装ゴモラ」が登場した際のやり取りが上記である)また、闘士専用の鎧は「装鉄鋼」(メタルブレスト)と呼ばれる。

 

「超闘士」とは……「はるかなる太古よりこの宇宙につたわる 伝説の最強戦士」であり、「その拳は惑星をもくだき その輝きは暗黒の宇宙すら光にみたす」と言われている。(完全版1巻より・ウルトラの父談)こちらの読みは「ちょうとうし」でいい。(スーパーファイターではない)

 

早い話がこの作品における超サイヤ人であるが、単に超絶強い戦士というよりは、ウルトラマン世界らしく「銀河の救世主」としての意味合いが強い。しかし……?

 

 

・各章あらすじと主要人物紹介

 

①メフィラス大魔王編…ウルトラ戦士、怪獣、宇宙人、人間の垣根を越えて銀河で最強の闘士を決めるため、「銀河最強武闘会」が開催される!(名前に突っ込んではいけない)かつて宇宙恐竜ゼットンに敗れたウルトラマンも帰還し、因縁の再戦に挑まんと闘志を燃やす。しかし、その裏にはある邪悪な陰謀が渦巻いており……?

 

見所…開始から高すぎるテンションで突き進むストーリー!ウルトラマンvsゼットンの再戦!鋼魔四天王と生身のウルトラ戦士との絶望的な戦力差、それを覆すウルトラ魂!いきなりの総力戦だ、ベタだけどとにかく熱い展開が続くぞ!

 

ウルトラマン…主人公。作中ぶっちぎりNo.1の実力者にして非の打ちどころのない人格者。本編前の時間軸でゼットンに負けているものの、今作では死亡してはおらず、修行を積んで「闘士」となった。

 

ウルトラセブン…数多い今作の不遇ウルトラ戦士の一人。苦労人。特にクセのないキャラで、1.5軍くらいの位置だが、ウルトラマンとの実力差は終始極めて大きいまま。が、さすがにウルトラ戦士No.2の位置づけだけあって出番はそこそこあるぞ。

 

ウルトラマンエース…今作のコメディ担当。これと「ウルトラ忍法帖」の無職エースのせいでギャグキャラの印象が未だに抜けないのは怒られても仕方ないと思う。実力はセブンにやや劣るくらい?の1.5軍だが、キャラが奏功してかとにかく出番がは多い。

 

ウルトラマンジャック…こいつから二軍。クールキャラだが不遇。エースより下にある通り、出番も少ない。一応大魔王編では見せ場あり。その後は……。

 

ウルトラマンタロウ孫悟飯。それ以上適切な言葉が見つからない。大魔王編では二軍ポジションだが、ピンチのときにその凄まじい潜在能力の片鱗を見せつける。幼年期悟飯が怒って突進するアレだ!

 

ウルトラマングレート…ちょいワルキャラ。ウルトラ兄弟が「銀河警備隊」に所属して平和を守っている一方、勧誘を断って独自に動いている。実力的にはジャックと同等かやや劣る程度だと思われるが、連載開始当初最新のウルトラマンだったからか、序盤にデカい見せ場がある。

 

ウルトラマンレオ…三軍。肝心なときにいないので出番もかなり少なく、旧シリーズ最後までロクに見せ場がない。個人的には本作一番の不遇だと思う。兄がこれなのだからアストラは言うに及ばずというかキャラ紹介に載せるまでもない。

 

ウルトラマン80…三軍。大魔王編では援軍に来てくれるが空気。レオに比べると終盤で一回見せ場があるだけ不遇度合いがマシ。それだけ。

 

ウルトラマンジョーニアス…ザ・ウルトラマンからの出演。三軍。80の項目が全部そのまま当てはまる。それだけ。

 

ゾフィー…審判。あまりに不遇すぎて説明することが何もない。それくらい空気。

 

メフィラス大魔王…本作のもう一人の主人公。闘士ウルトラマンのライバルであり、キャラクターは分かりやすく言うとピッコロ+ベジータだけど、それだけじゃない味がある。銀河征服の野望のため、大会後にウルトラマンが不在となった隙にウルトラの星侵略へ動く。個人的に一番好きなキャラ。メフィラスだけで記事一本書けるくらい好き。

 

ゼットン…ご存知宇宙恐竜。傲岸不遜な性格ながら、前述の通りウルトラマンを過去に倒したこともある程の実力者。大会でも他のウルトラ戦士を寄せ付けない圧倒的強さで再戦まで勝ち上がる。ウルトラマンとの再戦ではなんと聖戦士ダンバインよろしく「ハイパー化」まで披露、ウルトラマンサーガのハイパーゼットンに先駆けること19年!「ゼェ~ットトト!」というキン肉マンの超人かONE PIECEの海賊かみたいな笑い方が記憶に残る。

 

鋼魔四天王…軍団を持たないメフィラス大魔王の唯一の配下で、全員が装鉄鋼をまとう闘士。火力が売りのバルタン星人、怪力のケムール人(意外!)、棒術を用いるザラブ星人、スピードに優れるダダの4人で構成される。ナッパ+ギニュー特選隊のような立ち位置なのだが、登場時点でのウルトラ戦士との実力差・絶望感もそれらに負けず劣らずの大きさで、強烈な印象を残した。本作には本家ウルトラシリーズへのオマージュが非常に多く盛り込まれているが、その代表とも言える四天王の人選は本家ウルトラマンの該当回を知っている人からするとニヤリとしてしまうもの。

 

 

ヤプール大戦編…メフィラス大魔王の襲撃から時を経て、謎のフィクサーの資金援助により第2回銀河最強武闘会が開催された!しかし、またしてもその裏には巨大な陰謀が渦巻いており…?そして死闘の最中、ついに伝説の戦士が降臨する!

 

見所…キャラクターたちの成長!強敵にはまさかの人選!ついに現れる超闘士、そして更なる絶望!指数関数的に進む超インフレ!

 

ウルトラマン…引き続き最強のお方。今シリーズ前半ではついに伝説の超闘士に覚醒するが……

 

ウルトラマンタロウヤプール編後半の主役。メフィラス大魔王に弟子入りし、完全なピッコロ-悟飯関係に。修行の中でタロウもまたその潜在能力を開花させるが…?

 

メフィラス大魔王…ウルトラマンに敗れて以降、銀河征服の野心はなりを潜め、徐々に正々堂々の戦いを望む武人としての心に目覚めるように。まんまピッコロ・ベジータの改心と言えばそこまでなのだが、それだけに留まらないメフィラスの心情描写もヤプール編の見所の一つ。

 

ウルトラセブンヤプール編後半でウルトラ戦士のリーダーに抜擢され、さすがにそのポジション通りに見せ場も貰える……が、同時期に覚醒したタロウの印象があまりに強すぎる。不憫。

 

ウルトラマンエースヤプールといえばこの人……なのだが、なんとかつて(「エース」本編で)倒したヤプールは数多くいるヤプール人のうちの三下に過ぎなかったという設定が追加されてしまい、本作での決着はタロウに譲ることに。不憫すぎるが、さすがにシリーズ中の出番や見せ場は多い。しかし一番の見せ場はダイジェストで台詞中に語られるだけだった。やっぱり不憫。

 

エースキラー…エースのライバルキャラとして第二回大会から登場。原作通りゾフィーのM87光線など強力な技を使いこなし、実力もエースと同等以上……なのだが、激伝時空のエースに合わせて作られたために頭の出来も同等の三枚目キャラとなってしまった。不憫。でも不憫な目にあってもめげず復活したりする。

 

ゼットン…こいつの再登場シーンは激伝屈指のカッコよさなので必見。インフレにそこそこついていってて偉い。が、次シリーズからは出番がなくなる。

 

ヤプール…シリーズの大ボス。後半戦でついに正体を現し、大軍団で全宇宙の支配を狙う。正体を隠している時期、変身の流れとかはフリーザそのものだが、実は宇宙侵略にも背景があり、その決着のつけ方は激伝ならでは、タロウならではのものでなかなかお気に入り。

 

マザロン人…シリーズ前半の大ボスとしてまさかの大抜擢。強いて言うならDBZのキャラではリクームに近いか?あれを一万倍悪辣にして十万倍強くした感じでとにかくインパクト絶大。挙句ハイパー化もする。激伝アレンジの極北の一人。

 

スフィンクスヤプール編後半の決戦への案内人。あくまで自分は傍観者だと語り、真意を掴ませない振る舞いをする。こういうキャラ好き。

 

 

③ゴーデス・魔神編…ヤプール大戦から時は流れ、第3回銀河最強武闘会が開幕する!しかし、その影にはまたまた邪悪な陰謀が渦巻いていた!宇宙を滅ぼさんとする最強最大最悪の敵。君は今、伝説を超えた銀河の奇跡を目撃する!!

 

見所…宇宙規模のインフレと激伝アレンジの真骨頂、ここに極まる!!加えて、今まであまり描かれなかったウルトラマンが悩み葛藤する姿も描かれるなど、人物描写としても旧シリーズの集大成にふさわしい熱量だ!

 

ウルトラマン…見事復活を遂げた我らの最強男。人工的にウルトラホーンの機能を持たせたウルトラクラウンにより超闘士のパワーを制御することに成功した。しかし、それでも魔神の超絶パワーには力及ばず…?

 

ウルトラマンタロウ…2人目の超闘士。前シリーズ後半で八面六臂の大活躍をした反動で今作では不遇枠に。具体的には魔人ブウ編の悟飯(アルティメットにならない)。

 

ウルトラマンパワード…連載当時の最新ウルトラマンがついに登場!独自の流派を率いる指導者で、激伝ならではの解釈によって描かれた個性的なスタイルで戦う。グレートとは昔馴染みだった。ちなみにパワード怪獣、たとえばパワードレッドキングなどはオリジナルのレッドキングらとは「同族」という扱いに。

 

ウルトラマングレート…因縁の敵との戦いのはずが、ウルトラ不遇枠になってしまった人。

 

ゴーデス…宇宙の悪魔と呼ばれる邪悪存在。ゴーデス細胞をばら撒いてあらゆる生物を操れる。ロックマンXのシグマウィルスみたいな感じだ。それだけに留まらず、宇宙を支配するために伝説の魔神の復活を目論んでおり……。

 

ゴーデス五人衆…マイナー怪獣・宇宙人が邪鉄鋼(エビルブレスト)に操られた姿。鋼魔四天王と比べるとキャラが薄いまま全滅した。

 

鋼魔四天王…なんと再登場。当時のガシャポンにもラインナップされていた。こいつらなんか話にならないほど戦いはインフレしているはずなのだが、今回も結構目立つ。

 

シラリー・コダラー…天の魔神シラリーと海の魔神コダラー。宇宙を滅ぼす伝説の存在で、その圧倒的な戦闘力は単体でも超闘士ウルトラマンが手も足も出ないほど。元ネタはウルトラマングレートの最後の敵なので、パワードのパワードゼットンを除けば当時のウルトラシリーズで最新のラスボスということになる納得のチョイス。さらにさらに…?

 

超魔神シーダ…なんと二体の魔神が合体パワーアップしてしまった姿。その戦闘力は絶望そのもの。もちろんこちらは激伝オリジナル。ガシャポンフィギュアもオリジナルとは別に2体作られ、合体もできた。個人的に激伝アレンジの最高傑作にして、現在まで続く合体怪獣の歴史にその名を刻まれるべき存在だと思う。

 

 

OVA・彗星戦神ツイフォン編…宇宙の彼方から強者を求める破壊神が現れた!超闘士をも圧倒するパワー。死闘の末に散った誇り高き命に応え、銀河の奇跡は再び降臨する!

 

見所…OVAなのに本編のストーリーに直接繋がるという無法!そしてそこでメインキャラが死亡するというスーパー無法!!当時未就学の自分でもパラレルだと思ってたぞ!!なんと噂の円谷サブスクにあるらしい。君も見よう!

 

彗星戦神ツイフォン…彗星の姿で宇宙を彷徨い、行く手の惑星を滅ぼし尽くす破壊神。超闘士も相手にならない超絶戦闘力を誇る。

 

 

⑤エンペラ星人編…新世代の戦士たち、そして新たなる強大な敵!超闘士たちの戦いはこれからだ!

 

見所…最新世代のウルトラ戦士(当時)、ネオスと21が堂々メインなのは激伝だけ!しかし残念ながら連載終了により、ラスボスとの戦いはお預けに…。

 

ウルトラマンネオス…新世代の戦士で天才かつ優等生タイプのエリート。

 

ウルトラセブン21…ネオスの同期で努力家タイプの熱血漢。しかし、その心の隙を敵に利用されてしまい……。

 

 

⑥新章・メビウス編…第4回銀河最強武闘会に出場するウルトラマンメビウス!そして暗躍するのはあの「皇帝」。ウルトラ兄弟の名の下に今、超闘士激伝・堂々完結の時!!

 

見所…連載終了から18年の時を経て奇跡の完全復活!!オマージュもファンサービスも全開、かつての不遇キャラだって活躍!!ウルトラマン超闘士激伝、四半世紀越しの総決算を刮目して見よ!!

 

ウルトラマンメビウス…新章の主人公。タロウの弟子で、フォームチェンジによる高い戦闘力と底知れない潜在能力を持つ。

 

ウルトラマンネオス…天才優等生戦士。激伝の若手といえばこいつらということで無事続投。前半にでかい見せ場もあるが、後半はウルトラ兄弟がメインになったことで控えめに。

 

ウルトラセブン21…熱血努力家戦士。ネオス同様続投するが、今回もいきなり不遇な目に遭うかわいそうなやつ。一応、後半ででかい見せ場はある。直後あるキャラのインパクトに完全に喰われるが……。

 

ウルトラマンコスモス…慈愛の戦士。が、ある言葉を言われるとキレて暴虐のコロナモードになってしまうという問題児でもある。

 

ウルトラマン…ずっと最強のお人。が、今回は仇敵の策謀によって囚われの姫ポジションに。

 

ウルトラセブン…元祖不遇。ところどころで存在感を発揮するものの、今度はゾフィーに食われ気味になってしまった。不遇だ。

 

ゾフィー…93年の連載開始最初期からずっと空気だったレフェリー担当がまさかの一軍登板で大活躍。とにかく情けないイメージしかなかったのがめちゃくちゃ強くなった。活躍回の表紙にバードン・ヒッポリト星人・タイラントが描かれていたのにはあったかい悪意を感じた。

 

ウルトラマンタロウ…超闘士として新章でもその力を存分に振るう。人間関係の描写が一番多く、メビウスとの師弟関係もだが、それ以上にあの人とのあれこれが旧来のファンとしては泣けまくった。

 

ウルトラマンエース…永遠のギャグキャラ。

 

ウルトラマンジャック…かなり強くなったんだけど、最後まで空気だったお人。ウルトラ兄弟では一番の不遇に。

 

ウルトラマンレオ・アストラ兄弟…旧シリーズで一度もまともな出番がなかった最不遇兄弟。今作も奇襲にあったり散々……だったが、ウルトラ兄弟の一員としてついについに見せ場が来た!!祝・不遇脱却!

 

ウルトラマン80…僕らのウルトラマン先生。新キャラとの兼ね合いで見せ場がなくなった人。あんまりだ。しかし、最後の最後にはとても80らしいシーンがあり、最終的に独自のポジションに収まる。

 

ウルトラマングレート…顔は出したものの一切まともな見せ場がなく決戦選抜からも漏れた。おめでとう、繰り上がりで最不遇は君に決定だ。

 

ガルタン大王…まさかの人選パート2。80の弟子として大会でダークホース的活躍を見せるが、ヒール顔して実はウルトラ兄弟の大ファン。決戦には行かないものの、美味しいキャラで出番多し。

 

グローザム…大会出場者にして皇帝の刺客その1。不死身のグローザムの異名を取り、セブン21をダイジェストKOしてしまった。とにかく出番が多い。

 

デスレム…出場者兼刺客その2。策士タイプ。こいつも序盤から出ずっぱり、魔獣化したりして新章を支えた。

 

ヤプール…大戦で出てきたヤプール王とは別人で、かつてエースが倒した第一次地球侵攻軍の大将。怨念の塊で、憎悪パワーにより戦いを挑んでくる。

 

???…メビウス本編を観ている人なら予想がつくであろうあの宇宙人。死亡していたはずだが……。

 

エンペラ星人…皇帝と呼ばれる宇宙最強の男。かつて(連載終了〜新章開始前の間に)ウルトラマンと互角の戦いの末に消滅したと思われたが、ウルトラマンの体内に魂の一部を埋め込むことで生き延びており、復活。ラスボスを務める。ちなみにもともと激伝デザイン(初出)とメビウスでのデザインで見た目が違ったところ、作中で見事に説明をつけており、感心した。

 

【全編再読しての感想】

ありがとう、三条陸もとい瑳川竜。ありがとう。栗原仁。それしか言葉が見つからない。

 

自分が初めて激伝に触れたのは、まだ幼稚園児の頃だ。ウルトラマンや怪獣が鎧を着てファイティングポーズを取っている、その格好良さに当時の自分は夢中になった。しかし、自分が激伝の存在を知ったとき、ガシャポンシリーズは既に終了が近づいており、親に頼んで町中を探し回っても、手に入ったのは限定的だった。

 

同時に漫画の存在を知り、書店や古本屋で単行本も探しに探した。順番はバラバラながら少しずつ見つけ、最終的に6巻全てを入手したものの、物語はヤプール編までで終わっており、その先の物語は未収録だった。

 

たまたま出かけた先のデパートか何かで激伝のOVAを見つけ、祖母に買ってもらって狂喜しながら再生した。アニメで動く闘士ウルトラマンたちに夢中になり、まさかの展開に唖然とし、何度も何度も繰り返し観た。

 

小学校に上がるときから、コミックボンボンを買ってもらえるようになった。自分は飛びついて真っ先に激伝のページをめくったが、買い始めたその号を最後に、連載は終了してしまった。

 

その後、ファンの復刊希望が叶って旧シリーズが未収録分も含めた完全版として復刊されたことを知ったが、今に至るまで購入はしていなかった。

 

2014年に、なんと激伝が連載再開された。奇跡の展開に驚き、大喜びしたものの、終盤に差し掛かったあたりで連載を追いそびれてしまい、そのままリアルタイムでの完結は見届けられなかった。

 

今、ようやく、自分の中のウルトラマン超闘士激伝が完結した。

 

かつて連載が終わってからも25年もの時が経った。幼稚園にガシャポンフィギュアを持ち込んで遊んでいた子供は、今や一児の父になってしまった。

 

それでも、久しぶりに読む激伝は、あの頃のままだった。ずっと読みたかった魔神編も読めた。最終決戦はちょっとあっさりだったけど、それでもずっと心残りだったのがついにという感慨深さは並大抵ではなかった。

 

そして、何より新章が最高だった。原作者・漫画担当両氏が本当に描きたかったものを存分に描いているというエネルギーが伝わってきた。自分がずっと見たかったものを、25年の時を経て、最高の形で見せてくれた。新章ラストの感動は本当に筆舌に尽くしがたく、あるキャラとシンクロしたかのように涙が止まらなかった。

 

間違いなく、僕にとってのウルトラマン超闘士激伝は、名作だった。

 

そりゃ、コンセプトからしてモロにドラゴンボールだし聖闘士星矢だし、低学年向け雑誌での連載という都合もあって、盛り上がるシーンの描写があっさり気味なときもあるし、お世辞にも今の漫画みたいに全部のキャラが活躍するとは言いがたい。不遇キャラ多いし。特に旧シリーズに関しては、はっきり言って思い出補正全開で、全然客観的に見られてないとは思う。でも、僕はそういうアラのような部分、完璧じゃない部分も含めて、激伝という作品を愛している。

 

ただし、ここであえて言うならば、新章に関しては本当に評価できると思う。とにかく、20年越しに集大成をするぞというのが伝わってくる出来で、ただ「ウルトラマンドラゴンボールをやる」だけに留まらない、激伝ならではの良さ、キャラクターの関係性、そういうものの総決算になっているからだ。

 

だから、もしもここまで記事を読んでくれて、激伝に興味が湧いてきたという人は、どうか新章まで読んでほしい。つまり全シリーズ通してということなので、身もふたもない話ではあるのだが。

 

特に、たとえばあなたがジードやZのようなニュージェネ作品のファンだとしたら、是非とも激伝に触れてみてほしいと思う。ニュージェネ世代、もっと正確に言うとゼロ以降のウルトラマンに親しんだ人はキャラクターとしてのウルトラ戦士に慣れており、一つの物語の形として激伝も楽しめるのではないかと思うからだ。漫画を開けば、やりすぎなくらい熱い物語があなたを待っているぞ。電子版もある。

 

激伝の良さは語り尽くせないが、同時に誰にでも手放しで勧められるものではないな、というのも分かっている。誰にでもきっと、別格扱いの思い出の作品というものがあるだろう。僕にとってそのうち最も大きな作品の一つが、ウルトラマン超闘士激伝なのだ。

 

そんな作品を世に送り出してくれて、そして時を経て素晴らしい形で完結させてくれた作者のお二人、また復活プロジェクトを主導された秋田書店の担当者には、本当に本当に心からの感謝しかない。

 

僕が一番好きなウルトラマンは、ティガでもメビウスでもなく、あの強すぎるほどに最強で面白みがないほど聖人君子な闘士ウルトラマンだ。一番好きな宇宙人は、誇り高き武人で偉大な師匠で元侵略者のくせに誰よりもお人好しの大魔王だ。

 

ありがとう、ウルトラマン超闘士激伝。

 

僕は、激伝世代だ。