灰色の殴り書き

昔の言葉で言うならチラシの裏です

(家庭の愚痴)無理と不安と役目について

他人に直接は言わずに無理を強制するような人種がいる。

 

大抵は職場のパワハラ上司とか、そういうのが思い浮かぶだろうか。

 

そういう人が家庭にいると、心労が深刻に積み重なっていき、取り返しのつかない事態になる。

 

妻は、出産前にはお互いが無理しなくていいように、と言っていたが、今では真逆になった。

 

私が無理をして頑張っているんだから、お前もそうするのが当然だ、といつも態度で伝えてくる。

 

自分が気を遣いたくないからと、うちの両親の手を借りるのを断固拒否するのだが、結果として体調が悪くても無理に二人で子供の相手をするというのが、我が家では当たり前のことになってしまった。

 

それに付き合わされるこちらは、ハッキリ言ってたまったものではない。今もウイルス性胃腸炎に苦しんでおり、食事も摂ってないのでできる限り安静にしたいのだが、それを許さない。

 

うつで動けなくなったときも、「家にいて何もしないでいられるのは嫌だから、どこかに行ってくれていた方が気が楽」と言われた。

 

それでいて、自分も口を開けばため息、眠い、疲れた、頭が痛い。子供の目の前でスマホで無料漫画サイトを見ながら(話は逸れるが、妻は娯楽にほとんど一円もかけようとせず、無料サイトか俺が買った漫画・俺のアカウントのプライムビデオだけを見る)、四六時中家の中に負の空気を漂わせている。

 

寝不足で休みたいのは分かった。だから人に頼ればいいのに、それは嫌だと言う。両親に余裕がある方が子供にとってもいいと思うが、合理性とか優先順位という考え方が全くないのだろう。また、休み方が分からない、楽しみがないというのも深刻だと思う。友達もほとんどいないし、無趣味なので、家の外でリラックスすることができない。

 

実家付き合いも、保育園の親御さんとの会話も、何もかも気を使うから嫌だと言うが、それがこの先どこまで通用すると思っているのだろうか。子供のために自分が折れるという発想はないのだろうか。

 

結果的に俺も無理を強いられることとなり、仕事に加えてその積み重ねで先に参ってしまった。その上、うつ病は遊んでいるばかりで気楽だと言うのだから大したものだ。

 

さらに愚痴になるが、ひたすら子供を甘やかす方針なのも最近気になってきた。何かあるとすぐに癇癪を起こして泣き出すのはこのくらいの時期に必ずあると思うのだが、すぐに駆けていって抱き上げるし、危ないことをしても怒りもしない。どうも、ひたすらベタベタに甘やかすという方針らしい。新生児の頃からずっとそのように言っていたが、さすがに一歳もだいぶ過ぎたので、色々と心配になってきた。せめて危険なことはしないように、自分がものを取り上げたり叱ったりするようにしているのだが、子供はしきりと泣くし妻はその度にヨシヨシとするばかりで気が滅入る。

 

妻の母というのがハッキリ言ってロクでもない人で(父親は立派な人なのだが)、また姉というのも同じらしく、とにかく妻から実家の楽しい思い出みたいな話はほとんど聞いたことがない。何かにつけて母親のこういうところが嫌だった、姉にいじめられて泣かされた、という20年以上前の話を持ち出してくる。この人はとにかく感謝を忘れて恨みを忘れないタチなのだ。妻側の両親が子供を預けるのに論外だというのは、遠くに住んでいる人や既に亡くなっている人のケースを思えば贅沢だとは思うが、ずっと頭痛の種でもある。

 

つまりはシンプルに、そういう経験があるから自分の子をできる限り甘やかす、ということなのだろう。ただ、それが本当にこの子にとってベストなのだろうか、と最近は考える。妻は何かにつけて最近の研究ではこうだ、自己肯定感を高めるにはこうだ、と言うが、それ以前の常識として色々な人と交流させて情緒を育むとか、子育ては二人で抱え込むより人を頼った方がいいとか、そういうことはてんで無視しているのだから都合のいいものだ。

 

何も殴りつけてでも言うことを聞かせようという気はない。ただ、危ないことを教えたり、ダメなことはダメだと言ったり、身体を動かすのも頭を使うのも含めて面白い物事に触れさせたり、同じくらいの子供から年の離れた子供、さらには大人も含めて色々な人とコミュケーションを取る機会を与えたり、そういうことは自分の最低限の仕事としてやっていきたいし、やっていかなければいけないと思う。

 

自分の両親は非常にクセが強く、未だに腹立たしいこともあるが、それでも自分にたくさんの楽しい機会や知識をくれたこと、人としての正しいこと・ダメなことを教えてくれたことには、今になって改めて感謝してもしきれないた思う。ちなみに父はハードワーカーで母は妹がとても手のかかる子だったこともあり、俺は物心つく前から近くにいる祖父母の家に預けられることが多かったのだが、祖父母はそれはそれは素晴らしい人たちで、初孫としてまあ大層甘やかされまくったのだが、いい思い出をたくさんもらった。(勘違いされるといけないので注記するが、それぞれ88歳・86歳になってもなお元気である) 両親や祖父母の自慢はまた別の機会にしたいと思う。

 

自分の役目を思うとプレッシャーは大きいし、何が正解かも分からないが、直観的にこの人だけに任せていては子供がかわいそうだ、ということを強く感じているので、自分なりに頑張ろうと思う。不安はつかないので、先輩パパママフォロワー各位はどうか諸々ご教授いただければありがたい。

 

終わり。

 

 

諦めについて

ここ最近、少し調子がよくなってきた。疲れづらいし、子供が純粋にかわいく思えて、たくさん遊んであげたくなる。

 

理由は三つほどあって、一つ目は安定剤系の薬を増量したこと。恐らくこれが最大の理由。

 

二つ目は、読書とゲームにのめり込んでいること。特に、新本格ミステリーにハマってからというもの、取り憑かれたように毎日一冊以上読破しており、これが実に楽しい。

 

三つ目は、ネガティブなことになるが、諦めたからだ。

 

妻に期待することをやめた。

 

何か気に食わないことがあっても、それについて怒るよりも先に、頭の中で自分を落ち着けるようにしている。

 

あの人は、おかしいから仕方がない。

 

そうやって自分に繰り返し言い聞かせる。妻は普通ではないから、何かあっても仕方ない。むしろ、それでもやってくれていることだけを評価しよう。それ以上のこと、世間のお母さんのようなことは、期待しないようにしよう。

 

メンタルの病気に理解がなくても、感謝や労いの言葉がなくても、機嫌の波が激しくても、休日なのに休まずにかえって疲れても、先々の家計のことを考えられなくても、子供の目の前でTwitterや漫画を延々見ていても、時間制限のあるオンラインゲームをしていても、生活費のほとんどを負担させられても、仕方がない。

 

そうして、苛立ちを落ち着けるようにしている。

 

こんなことを書けば、夫として失格だと言われるだろうし、妻が可哀想だという非難を受けることは容易に想像がつく。

 

からしばらくは胸の内に留めていたのだが、それでも、訳あって書かずにはいられなかった。

 

ここで話は変わるが、自分の現状について書く。

 

クリニックの主治医から、休職期間を使い切ってしまうと復職できなかったときにそのまま退職となってしまうリスクがあるため、猶予があるうちに一回復職してみた方がいい、というアドバイスをもらった。

 

特にうちの場合、問題になるのは復職した際に妻の家事育児負担が増えることだ。それでも、このままでは半端に家事育児を続けて、ずるずると休職期間を使い切るまでうつから回復せず、収入が途絶える、ということが予想されたので、とにかくまず仕事に戻ってみて、妻にその生活に慣れさせるしかない、というのが最大の目的だ。

 

逆に言えば、子供が産まれてから1年3ヶ月の間、療養中であろうとほとんど毎日夫婦二人で分担してやってきており、妻はそれに慣れきっている。ただし、その状態を永遠に続けるわけにはいかない、ということだ。

 

妻は論理的な説得が通用しない人なので難しそう、と話したが、もし何か問題があっても、期間が残っていれば、再休職もできるから、と説得され、それならばと自分も同意した。

 

このことを産業医に話したところ、内容は理解されたものの、やはり手続き的なところが気になるのか、また産業医としての立場が問題なのか、少し難色を示された。

 

そこで、まずは会社に復職する前に、家庭内のみでトライアル的に生活のシミュレーションをしてみてはどうか、と提案された。実際には仕事をしないが、定時で通勤している体で、朝〜夕まで今自分が負担している・手伝っている家事を妻に任せる。そこで問題がなければ、正式に手続きに移る。問題があれば、事前に発見できる。という具合だ。

 

これならばすぐに始められるし、何かあったら軌道修正できて良さそうだ。そういうわけで、11月から早速始めることにした。案の定妻は反発し難色を示したが、とにかくいつまでもこの生活は続けられない、いつかは復職しなければいけない、と言ってなんとか説得した。

 

結果的に自分が週休0日(週5勤務と土日)、妻が水曜と土曜の週休2日(こちらは仕事といっても週4で10時〜3時か4時までのバイトのため)なら、と言っていたが、そこについては先々要調整ということで棚上げにした。

 

それで、いきなり週5は大変だろうということで、今週の水曜日からまずは3日やってみようということになった。

 

結果から先に言うが、妻は3日でほとんど限界のようだった。

 

疲れた、腰が痛い、イライラする。今日は朝から剣呑な雰囲気を漂わせ、何かにつけて噛み付いてくる。

 

いつかはこうなると思ったが、あまりにも早くて流石に驚いた。この調子では、復職など夢のまた夢だ。

 

今日は向こうも休みたいと言ったし、こちらも休んでほしかったので、昼間にうちの母に来てもらい、3時間ばかり自由にしてもらうことにした。しかし、どこにも行く場所がないと言い出し、まるで俺が追い出したかのような態度で家を出ていった。自由時間を楽しむ術も持たなければ、休み方も知らない、それでいて他人と交流もしない人を、どうすればいいのだろうか。これでは手の打ちようがない。

 

時短勤務にすれば、と妻は軽々しく言う。2時間も時短すれば、減収分であなたのバイト代を超えてしまうのだけど。そもそも、何の調整もなく容易に時短に切り替えられると思っているのがどうなのだろう。

 

もう忘れているかもしれないが、こっちは2ヶ月の育休を取るのにも必死で苦労したのに。復職後もワンオペにさせまいと、仕事を途中で抜けて子供を風呂に入れ、夕飯を作り、妻の食事やらお茶の間はゆっくり遊んでやり、それからデスクに戻って23時前まで海外とオンライン会議をしたり、残業してから夜勤を代わって少しでも寝る時間を作ったり、そういうことをしていたのも忘れてしまいましたか。世間の育休取得割合を知っていますか。そのほとんどが一週間程度で、一ヶ月以上は未だにごく少数なのを知っていますか。この会社で二週間より長い育休を取ったのは、正式に制度を使ったのは全社で俺が初めてだと言ったのは、覚えていますか。それもこれも、全て慣れてしまって当たり前になりましたか。

 

そうして、今朝決定的なことが起きた。

 

妻が噛みついてきたのをきっかけに、つい「俺はうつ病でも家事してきたけどね」と言ってしまった。そしたら妻は言った。

 

「そりゃあなたは毎日遊んでられるからいいよね」

 

そうか。この人にとっては、俺の休職理由などどうでもよくて、うつ病というものの大変さなどどうでもよくて、俺はただ毎日好きなだけ遊びながら便利に家事をするだけの存在だったのか。

 

ただ不思議と、そこまで腹は立たなかった。

 

やっぱりそうか、と思った。

 

まだ休職したばかりで体調が悪かったとき、妻に言われた言葉を忘れていない。

 

「かえって良かったんじゃない?」

 

何が良かったのだろう。俺が家事に専念できるから、自分が楽をできることか。

 

子供と一緒にいる時間が増えたのは、そりゃ今だからありがたいと言える。ただ、休職したときの俺は限界だった。それでも、妻は一度たりとも心配してくれたことはなく、「無理しないで」と言ってくれたこともなかった。投げ捨てるように「疲れた?休めば?」というのが最大の優しさだったと思う。

 

かえって良かったんじゃない?という言葉は、自分の中に大きなしこりを残した。

 

それでも、何とかやってきた。自分が結婚した相手だし、この子の母親は一人しかいないのだから、たとえ自分をうつ病に落とした人間だとしても、いつまでも憎んではいられない、と。

 

だから表面では最大限に仲良くして、機嫌を取って、症状がひどいときでも家族の前では取り繕って、明るくするように努めてきた。その分、Twitterやブログで生き恥を晒しながら汚物を吐き散らかして、色んな人に優しくしてもらって、何とか生きてきた。最近、「おかしい人だから仕方ない」と頭の中で繰り返すことにも、少しの罪悪感があった。

 

でも、やっぱりあの人の本音はそうだったのだ。

 

ひどい妻であるかのように書き立てて、離れたいと思っていても、心の中ではまだ少し信じている、信じたい気持ちがあった。本当は気遣ってくれている部分もあるのではないか、休んで楽をしていると思われているというのは悪い方に考えすぎじゃないか、悪いように書きすぎではないか、と思っていた。それで自分を責めて、ツイートやブログを書いては消した。

 

でも、やっぱり最初からダメだった。休職して好きなだけ遊んで楽をしている夫。手伝うのが当たり前なのに、そのくせ疲れやすくて完璧な家事育児ができない夫。一方では誰にも頼れず誰よりも苦労している自分。私はあなたと違って辛い。あなたは楽でいいよね。そういう図が最初から彼女にはあった。

 

不思議と、そこまで腹は立たなかった。ただ、冷たい気持ちになった。

 

やっぱりそうだったのか。俺は期待しすぎていた。信じすぎていた。もう少しマシな人間だと思っていた。でも、やっぱり違った。

 

むしろ納得感があったし、かえって清々しい気持ちになった。もう、あの人に何も期待しなくていい。何も気兼ねしなくていい。申し訳なく思わなくていい。

 

あの人も明らかに普通より頑張っている点は一つあって、それは子供がとにかく寝ないことに原因がある。一才を過ぎても夜1時間おきに起きるので、その都度授乳して寝かしつけている。最初からずっと、授乳しないと寝ない。そのことがずっと気がかりで、あの人はとにかく頑張っているから、他のことは何があっても仕方ない、俺が頑張ろう、とやってきた。逆に、子供が寝ないことでこの家庭は全ておかしくなったのかもしれない、とは思うことがある。

 

でも、もういいや。

 

「毎日遊んでいられるからいいよね」とまで言われた相手に、もうこれ以上気遣うことはない。

 

俺は否定された。先が見えなくて死にたくなったことも、地べたに這いつくばって苦しんだことも、少し良くなってきたと思ったら身体が動かなくて絶望したことも、それでも必死で家事育児をやっていたことも、薬を変えては効かない、増やしては効かないと繰り返していたことも、毎日毎日症状の悪化に怯えていることも、全てを否定された。いや、最初から何も認識されていなかった。

 

ずっとわずかな期待を持って耐えてきたけれど、もう自分を許そうと思う。あの人を嫌うこと、憎むこと、自分をどん底に落とした元凶だと断定することを、許してやろうと思う。

 

今の俺が気兼ねするのは、申し訳なく思うのは、この子に対してだけだ。あの人はどうでもいいけれど、この子を放り出すわけにはいかないと思う。この母親と二人では、およそまともに暮らしていけるとは思えない。(決して母子家庭そのものを否定するものではありません。念のため)

 

あの人は社交的ではなく、自分が面倒だからと子供と他人の交流をも避けているが、そういったことも含めて、自分が教えてあげたいと思う。あの人は楽しいことを見つける能力がなくて、友達も一人か二人だけで、何かにつけて物事の悪いところだけに注目して、その母親もまたロクでもなくて、自分から進んで不幸を感じにいくような人だけど、子供にはそうはなってほしくない。だから、自分が精一杯いろんなことを教えてあげたい。

 

離婚。これまでは使わないようにしていた言葉、考えないようにしていた選択肢。今はとても現実的に感じるけれど、同時に遠いものでもある。

 

すぐには決断しない。それは子供がいるから、この子を見捨てられないから、それだけだ。

 

ただ、恐らくもうあの人に対して俺が心を開くことはない。もう、全てを諦めた。

 

あの人は何気ない一言、悪意のない行動、そういったものを最大限悪い方に解釈して、事あるごとに思い出して、恨みを一生持ち続ける性質だ。それならば、俺もそうしてやろう。今日のことは絶対に忘れない。

 

この夫婦はいずれ離婚することになるだろう。ただ、それはすぐではない。この子が中学を出たときか、高校を出たときか、それとも成人したときか。それは分からない。結局面倒で踏み切らないかもしれない。

 

ただ、もう俺は全てを諦めた。生きていることを否定されたのだから。そんな相手に、もう心を許すことはない。

 

残酷、無理解、傲慢、短気、何とでも言ってもらって構わない。

 

 

 

所持メギド専用霊宝妄想(メギド72)

タイトルの通りです。メギドがっつりやってる勢フォロワー向け記事となります。メギドごとに文章量が違いすぎるのはご容赦ください。なお表記の倍率は基本的に星6をベースにしていますが、恐らくブレがあります。

 

①Rウヴァル

素の攻撃力はトップクラスながらもインフレに置いていかれてしまってる感が否めないお方。同じく引き直し対象のゼパルは猛撃と相性が良くモラクス・ボティス(S強化)などの新実装メギドも実質強化になっている。一方のオセは専用霊宝実装以来Aだけで仕事する自己完結型アタッカーとして独自の地位を確立した。こうなるとウヴァルさんにも何かしらのテコ入れが欲しくなるのが長年愛用しているソロモンの気持ちというもの。

 

ここは幻獣を狩るものにちなんだ効果はどうだろう。こんな感じで。

 

「敵と同じ種族のオーブを装備している場合、敵にダメージを与えるごとに奥義の倍率が0.5上昇する」覚醒スキル一発かませば奥義は5.25倍ダメージだ。やりすぎかな。

 

あるいはオーラ付与。固定ダメージ(累積上昇)なんか面白い。もしくは最も分かりやすいのは特攻。1.5倍くらいで、特性組には及ばない調整。 Cが最近実装されたばっかりだから当分先かもしれないけど、シャミハザの例もあるしね。

 

②Rウァレフォル

インフレに以下略。一応、心深圏でゴウケツを狩るものとしての地位は確立されているが、スキル・覚醒・奥義とも実質上位互換に近いメギドが存在しているので、霊宝追加候補だと思う。

 

お頭なので、追撃・遊撃・加勢あたりが絡むとそれっぽいと思う。ただライバルのイポスと丸被りになるのが悩みどころだ。

 

奥義の毒が空気なので、列A追加くらいもらってもいいと思う。一斉攻撃が似合うお方なので。

 

③Rアスタロト

サポート面を強くするなら、スキル使うごとに固定ダメージアップとか、特性をHP50%以下のときターン終了時に全体覚醒+1にするとか。

 

攻撃面はわからん。固定ダメージが敵HPインフレについていけてない&奥義の凍結が有効になるケースが少ない&特効のガオケレナではデカちゃんに一歩譲るので、そのへんを調整してほしい。

 

④Rセーレ

最低でも強化3ターン。ゲージ-2、&/orスキルに覚醒+1追加。これくらいしてくれ…。

 

⑤Rフラウロス

特性がほぼ空気。素早さが半端で素だとEXドゥームを抜けないところが痛く、めまい役としてはベリト様やフルーレティに一歩譲る。奥義も火属性なのは面白いんだけど3.25倍&フォトン奪取はさみしい。覚醒はかなり強いんだけどね。

 

特性を変更して、戦闘開始時に守銭奴状態(特殊)になり、覚醒スキルか奥義を使用するたびに1000G消費して攻撃力30%ずつ上昇(永続累積)。どうでしょう。

 

⑥Rナベリウス

特性以外は本当にパッとしないんだけど、特性が強すぎるので当面霊宝は来ないかもしれない。ちょっと分からないですね。

 

⑦Rサキュバス

色々効果あるんだけど、攻撃系ベースなのが難しいところ。特性の開始2ターンの間ターン終了覚醒アップを自己+2→全体+1とかでどうだろう。強すぎるかな。未所持だけどインキュバスがあれだけ強くなったんだし……

 

⑧Rバフォメット

点穴勢はHPインフレ以前の実装だったこともあり、特に100から1発撃つのが前提のメギドはみんな厳しい。調整悩んでそう。

 

その中で村長はというと、スキルでゲージが上昇して覚醒が出てしまうので連発しても溜まる速度が遅いのが痛い。高めの攻撃力もミスマッチ。

 

低点穴で繰り返し殴る方向性なら、「点穴70以下のとき、攻撃時の点穴消費を5に抑える」とか。奥義の点穴+を攻撃前にしてもいい。

 

あとはネタ重視だけど、覚醒スキルを「自身を感動状態(特殊)にする」。効果は回復を受けるたびに点穴+15(上限150)。点穴あんま使わないんで全く計算してないけど。

 

⑨Rヴィネ

とりあえずゲージ-2するか覚醒に高めのダメージ軽減付けましょう。あと特性が死んでるんで敵にハイドロボムが付いてるときターン終了時にゲージ+1とかでお願いします。

 

⑩Rレラジェ

70以下で消費しない特性は優秀。覚醒に追加効果でバレット作成(攻撃後に点穴+20)とかどうかな。実質専用になるけど。とにかく上限100使い切りは厳しいのでテコ入れを……。

 

11.Rマルバス

点穴サポーターの中でも一際きつい子。Sを点穴+10、奥義を+30、あと特性のスキル沸きの暴発がヤバいのでターン終了時に前列点穴+10とかにしてください。ストラスと組んだらやりすぎ?

 

12. Cアロケル

ピーキーさを好んでダメージチャレンジに使う人もいますね。。スキルに睡眠時チャージ使用可能か自己根性付与+攻撃されたら睡眠解除とかでどうだろう。その場合耐性無視に変更されるのがベスト。とにかく、ある程度手軽に奥義にアクセスできるようになれば。

 

13. Cシャックス

感電が滅多に通らなくなる中盤以降出番が激減してしまう。戦闘開始時2ターンの間全体にランダム効果(攻撃力上昇/状態異常ターン数+1/ターン終了時HP回復)。もしくは奥義の火力アップ条件を雷攻撃2回ごとに変更。

 

14. Cセーレ

奥義を一回限定の代わりに効果全部盛りにするか、発動順を固定してくれ。あと覚醒が悲惨すぎるのでせめて全体覚醒+1か単体蘇生くらい付けて……。

 

15. CDコルソン

このゲーム混乱が弱すぎなんでもう一押しほしい。アモさんとお揃いで倍率アップとか……。

 

16. Cハーゲンティ

妨害メインなのが厳しい。アナーケンは接待とはいえ。覚醒を200G消費にして防御無視に。奥義を味方全体攻撃力バフ+1回防御無視か根性付与に。とか……?

 

17. Cベレト

どうにかもう一回チャンスをください。スキルレベルアップでアタック追加確率アップを……

 

18. Cアラストール

毎ターンゲージ+1が偉いので覚醒の列めまい捲くだけでもまあ仕事にはなってる。ただ火力が低すぎてダメージ部分が死んでるので、欲を言えばスキル強化に加えてもう一押しバフか、3ターンに……。

 

19. Cダゴン

いや十分強いんだけどね。他のS級テルミナスと比べるとってことで……。Sに防御無視をください。それか奥義で対象が既にバーサーク中の場合S追加で。

 

大食いっぷりを反映して、覚醒ゲージ最大時にチャージ使用かゲージ増加を受けるとか、体力一定以下or以上時に回復を受けるとかした際に自己バリア+攻撃アップとかも面白いと思う。

 

20. Cネフィリム

テルミナスの問題児。防御+30%。シフト1覚醒Sの効果を全体に。奥義を3ターンand/or封印なしに。シフト2覚醒に防御無視と倍率アップ。

 

正直全体かばうまでが遅くて使ってられないのが問題なので、Sでゲージ+1くらいしてもいいと思う。

 

21.フルーレティ

スキルだけでもかなり活躍はできるんだけど、欲を言えば状態異常を外したときでも特性の攻撃力/奥義の倍率アップが適用されてほしい……。

 

22. Cユフィール

ネクロなのに強化解除に弱すぎるのが厳しい。普通に奥義で単体蘇生してほしい。あと専用霊宝付け替えで対応できるから普通にスキルかチャージでネクロ起動をください。

 

23.Bモラク

Rが最近実装略。特性のカウンターが貧弱すぎるのでせめて防御無視反撃にして倍率を上げてほしい。覚醒と奥義にも防御無視あっていいと思う。あと地割れがあるときダメージ1.5倍(Bベリアルと同じ仕様)とかで。これでもブネさんに比べたら地味だけどね。

 

24.Bアガリアレプト

まあMEだけでも一生食ってはいけるんですが、例に漏れず6ゲージ奥義が厳しいのは否めないかと……。自分のゲージも開始時+2しましょうよ。

 

25.Bフォカロル

ギアバーストのアタック強化をスキル強化にして、レベル5で防御無視でどうでしょう。フェイタルエアプなんですが。

 

26.Bストラス

スキル使用ごとに奥義倍率+0.4。それか精霊/大幻獣(適当)オーブ装備時にスキル使用で乙女のオーラ2個追加、1個ごとに攻撃力+5%、ターン開始時スキル追加確率+4%で。

 

27.Bフラウロス

いいからハイドロボム全部必中にして

 

28.Bアイム

問題の6ゲージ族。フルフル先生が強化されたし9章3節で例のアレも描写されたので、それに見合う火力になってほしい。

 

特性の徐々に攻撃力アップを最大75%に。

スキル使用ごとに奥義倍率+0.5(最大7倍)。

スキルレベル5(単体2.5倍)&レベル6(3.25倍)まで追加。

覚醒スキルのアタック強化を全体に。

アタックを火属性にして、火属性攻撃時ゲージ+1。

奥義の倍率を4.25倍に&既に炎上の場合は狂炎に。

 

この辺から組み合わせでどうでしょう。

 

29.Bジズ

覚醒と奥義が空気なのでバフか単体蘇生をください。

 

30.Bダンタリオン

今でも十分強いんだけど、欲を言えばバフを3ターンにするか遅延行動で次のターン開始時に……。

 

31.Bバールゼフォン

大幻獣でペイン転換が刺さるっちゃ刺さるんだけどね。チャージチェインをゲージ条件なしかせめて2から(40%から)に。奥義も貧弱なのでチェイン追加してください。

 

 

こんな感じで妄想してみました。どれも地味ですが、特殊状態とかオーラは増やしすぎると訳わかんないかなと思って控えめにしました。

 

そうこうしてるうちに、アガリアレプトさんとかブネさんとかグリマルキンとかガミジンとかみたいにガラッと使用感変わるレベルの専用霊宝が実装されるかもしれません。何にしても上にあげたメンツの誰かは早晩来ると思うので、楽しみにしています。プルソンくんやベリト様やグシオンみたいなことになりませんように。

 

 

 

友情謀略ラップバトル立身出世大河群像劇、「ダルタニャン物語」は「三銃士」の後からが面白いという話

『この世の中では、男も女も、そして国王も、現在に生きることが必要なのだ。われわれが未来に従って生きねばならぬとしたら、それは神にたいする場合だけなのだ。』(第11巻「剣よさらば」より引用)

 

タイトルが長い!

 

さて、先日「三銃士はろくでもない奴らだった」等と称して感想記事をアップした、ダルタニャン物語。この度、めでたく第三部までの全11巻を完走することができた。

 

で、まずは一言。

 

とにかく、掛け値なしに面白かった!!!

 

本当に本当に愉快なエンターテイメント大作であった。

 

第一部「三銃士」時点での印象はというと、登場人物の破天荒さ、倫理の崩壊ぶりに恐れ慄き、この性欲と名誉欲に取り憑かれた薩摩武士どもは何なんだと震え上がっていた。これはキャラの性格なのか、作者の手癖なのか、はたまた作中の時代背景を反映しているのか、それとも執筆当時の物語なんてみんなこんなもんだったのか…と思いを巡らせつつ、メチャクチャな展開にツッコミを入れる、という感じで、それはそれで楽しく読めていた。

 

が、これが第二部「二十年後」になると一転。非常にきれいな展開がテンポ良く続き、エンタメ感溢れる素晴らしい完成度になった。二十年の時を経たキャラクターたちや勢力図の変化、宮廷中枢と反体制市民フロンド派の対立、それぞれに別れて戦うこととなった銃士四人の苦悩、友情の復活、スケールアップしたミッション、過去からの因縁…と、とにかく目の離せない展開が盛りだくさん。歴史絵巻としても面白く、またキャラクターの個性描写がぐっと洗練されたこともあり、一気に読ませるストーリーだった。

 

そして、最後は完結編となる第三部「ブラジュロンヌ子爵」だ。完結編と言いつつ、全11巻のうち6巻がこの部に当てられていることから、どれだけ筆が踊ったかが思い浮かぶ。こちらではかつての銃士アトスの義子ブラジュロンヌ子爵をタイトルと主人公に据えながらも、その実はこれまでの物語の集大成として、史上最大の陰謀が張り巡らされていく。と同時に、銃士たちの生きてきた道、その旅のエンディングともなっているのだ。これはもう、ついてきたファンにとってはたまらない。

 

ただ一方で、王者として覚醒したフランス国王ルイ14世を中心とした華やかな宮廷のドロドロ恋愛模様にもかなりのページ数が割かれており、軽く約2冊分はそのへんの話が続く。ここはかなり好みが分かれるところで、読めば爆笑必至のしょうもなさではあるのだが、大筋の先が気になる人はガーッと読み飛ばしても全然構わないだろう。

 

と、ここまでは月並みな解説感想を述べてきたのだが、本記事では従来とは異なった切り口からダルタニャン物語の魅力に迫りたい。

 

それは「友情謀略ラップバトル立身出世大河群像劇」としての側面である。

 

は?

 

まずは説明させてほしい。物語が第一部から第二部へ移り、二十年の時を経たことで、舞台であるフランス社会には様々な変化が訪れた。その一つが枢機官の悪政に反発した市民行動だというのは、先に少し触れた通りだ。しかし、私はここでもう一つ重要な点に触れたい。それは、国王の名の下に「決闘が禁じられた」ことである。古き良き時代を描いた第一部では、貴族たちは貧乏だが何よりも誇りを重んじ、侮辱には剣をもって応じていた。決闘こそが彼らの華舞台であり、また物語の山場でもあったのだ。

 

しかし第二部以降では、決闘行為は野蛮なものとして禁止され、大っぴらに剣を振るうことが許されなくなる。(それでも森に隠れてやり合ったりはしてるのだが) ここに至って、かつてのフランス蛮族もとい貴族たちは、その誇りを示し相手を叩き伏せる術を失ったのである。

 

その結果、どうなったか。

 

武力は根絶され、人々はラップバトルで雌雄を決するようになった。

 

ヒプノシスダルタニャンマイク物語だ。

 

第二部以降、デュマのストーリーテリングスキルの著しい向上と共に、作中では長台詞が激増する。また、その台詞回しもキレをどんどん増していく。そして、それらは主に、自分の主張を貫き、対決する相手を論破するために振るわれるなのだ。

 

その筆頭が我らが主人公ダルタニャンである。中年となった彼はもっぱら、剣を抜くよりもその弁舌によって相手を説き伏せ、そして高らかに勝利宣言をするようになっていく。言葉の力で時には味方を増やし、時には相手に恥をかかせ、時には巨万の富を手にする。

 

その卓越したリリックの一端をご紹介しよう。

 

『陛下が求めていらっしゃるのは、友人ですか?それとも召使ですか?軍人ですか、それともペコペコ頭を下げる連中ですか?偉大な人物ですか、それとも道化師ですか?陛下は陛下に仕える人間をお望みですか、それとも唯々諾々と命令に服従する人間をお望みですか?』(第10巻「鉄仮面」より。以下、延々とパンチラインが続く)

 

これぞ、ヒプノシスダルタニャンマイク物語だ。(2回目)

 

ラップバトルに腕力は必要ない。このステージでは男女は平等だし、身分の差もフローとライムで埋められる。別に訳文が韻を踏んでいるわけではないのだが。そのため、太后vsダルタニャンみたいなマッチアップも自由自在だ。

 

なんと画期的なことか!そう、ダルタニャン物語こそ現代のHIPHOPブームに先んじること270年、世界文学史に輝く友情謀略ラップバトル立身出世大河群像劇だったのである!

 

さあ、もうお分かりだろう。ダルタニャン物語の真髄は第二部以降なのだ。異常にアクが強く、欠点だらけだけどどこか憎めない愛嬌のある、味濃いめ脂きつめのキャラクターたちによる狂乱のHIPHOPリアルレジェンドストーリー。これこそが、ダルタニャン物語が究極のエンターテイメント大作である所以なのである。

 

然るにこれ以降は、陳腐なあらすじ紹介やネタバレに気遣った無難な解説は捨て去ろう。代わりに、素晴らしき物語の軌跡を振り返ると共に、主要キャラクターとそのラップスタイル(特殊能力、個性、術式、等と言っても差し支えない)を紹介していきたい。どうしても多少のネタバレは含まれてしまうが、それによって物語の面白さが損なわれることはないと固く信じている。あとぶっちゃけると各巻の登場人物紹介に書いてあることがほとんどなんで、気にしないでください。買った人は登場人物紹介と訳者解説は絶対読まない方がいいよ。

 

では、まずは我らが主人公から紹介しよう。MCダルタニャン aka.ガスコンギャングスタ※!

 

ダルタニャン:本編主人公。二十年後が舞台の第二部、さらに主人公がブラジュロンヌ子爵に交代したはずの第三部でも一部を除いて出ずっぱり。作中最強の剣の達人だが、決闘が禁止された世の情勢もいち早く把握。二十年の時を経て欧州一のラップマスターとなり、数々のインポッシブルなミッションに挑む。

 

そのラップスタイルは「屁理屈」。どんなに身分の高い相手に対しても変幻自在に論調を変え、粗を探し、揚げ足を取り、時には逆ギレしながら、あらゆる敵を論破していく。保身の上手さも作中随一ながら、開き直ったときは一層手に負えない。平然となかったことにした悪行も数知れず。

 

また、歳をとって知恵者としての活躍がよりフィーチャーされるようになり、三銃士に策を授ける場面が増えるが、一方でその卑屈さ、傲慢な自信過剰ぶりにも磨きがかかり、いつも心の声では「ちくしょう!」と悪態を突いている。加えて、若かりし頃よりも守銭奴っぷりが格段にレベルアップ。金欲しさにイギリス国内の権力争いに首を突っ込み、宰相を拉致して木箱の中に監禁するなどの蛮行を働く。しかもそのくせ報復にビビったり、手に入れた現金を盗られるのが怖くてソワソワしたりと、慎重ゆえの情けなさも目立つ。嘘をついたことがないなどと自称しているが、言葉尻を捕まえて約束や誓言を半ば破るなどは朝飯前。また、自身がずる賢いために人を端から疑ってかかったり、疑心暗鬼に陥ることが多く、友情で結ばれたはずの三銃士に対してもしばしば心の中であらぬ疑いをかけたりした。

 

※ガスコン:フランスはガスコーニュ地方のこと。ダルタニャンの出身地。ガスコン人は気が強くたくましく知恵に溢れ誇り高い、らしい。地元大好きなのはラッパーの必須条件だ。

 

 

アトス:かつての四銃士(ダルタニャン+三銃士を以下こう呼称)の中では最年長。別名ラ・フェール伯爵。威風堂々たる風貌の男。かつては不貞腐れて宿屋の酒蔵に銃で武装して籠城し、現在の日本円にして約700〜800万円もの無賃飲食をキメた上に明け方から博打で全財産をスるというマジもんの狂人だったが、二十年の時を経て唯一最大の欠点だった酒クズ・博打クズの悪癖は完全になりを潜め、養子であるラウル(ブラジュロンヌ子爵)を愛情たっぷりに育てる。が、あまりに溺愛しすぎたか、はたまた生真面目に育てすぎたためか、ラウルはいささか不器用な青年となってしまった。

 

スタイルは「高貴」。真の貴族として、誠心誠意仕えるべき主を見定める慧眼、そのためには自らの身や財産を投げ打つことも厭わない勇敢な行動力、そして何一つ見返りを求めない謙虚さを全て備えた完全無欠のイケオジだ。まさに歩くノブレスオブリージュ。時の権力者ではなく、神に与えられた王権そのものに仕えることを使命としており、その献身は時にイギリス王室にまで及ぶ。

 

自らラップバトルを行うことは少ないが、ひとたびインダハウスすればその誇り高い精神に裏打ちされた完璧な振る舞いと格式高いリリックを披露し、相手に付け入る隙を与えず説き伏せる。第三部終盤、とある事件がきっかけでついにキレたときのアトスラップは作中ぶっちぎりの切れ味だった。

 

 

ポルトス:長身の元四銃士。かつてのチャラ男キャラは二十年経って一転、気は優しくて力持ちな巨人としてコメディ担当に。未亡人の金持ち婆さんと結婚したことで大金と三つもの領地を相続し、それにみなんだデュ・ヴァロン・ド・プラシュー・ド・ピエールフォンという長い名を名乗るようになるが、贅沢な暮らしに飽きたことと伴侶を亡くしたことで無気力に日々を過ごしていた。結婚は財産目当てだったはずだが、最終的には純愛になったらしく、以降は女性関係の描写もほとんどない。ダルタニャンからマザランのミッションに誘われ、男爵位を得るために腰を上げる。

 

スタイルは「純朴」。決闘が禁止された世において、弁舌と智略がてんでダメなため、頭脳労働はもっぱら他の3人に任せており、自らラップバトルをすることは稀。いつもトボけた調子だが、一方では作中ダントツ最強の膂力の持ち主でもあり、その豪腕と巨体は巻を追うごとに作者の悪ノリでインフレしていく。猛牛を拳骨で即死させる、寝返りで家が揺れる、600キロの荷物を持って部屋を6周する、挙げ句の果てには宴席でふざけて壁を殴ったら屋敷が崩落して未亡人や孤児を大量に発生させる(年金を支払った)など、オーガかトロルのような異次元の暴を発揮する男。食欲と睡眠欲の権化とされており、いびきは爆音、寝起きは最悪。

 

 

アラミス:ダルタニャンを除く三銃士の中では最も若く、また最も深慮遠謀や世渡りに長けた傑物で、女性関係も華やかだがなかなかその本心を明かそうとしない。二十年後はかねての志望通り神職についてデルブレー神父となり、その後も出世街道を爆走して陰謀を巡らせた。

 

スタイルは「策士」。陰謀渦巻く時代を迎え、水を得たリヴァイアサンのごとく縦横無尽に活躍する。大局的な視野と巨大な野心を併せ持ち、その実現のために次々と権力者に接近、味方に引き入れていった。時には神の威光をも利用するラップスキルはダルタニャンの追及をも煙に巻くほどだが、あまりにも要領が良すぎるがゆえに己が策に溺れることも…?

 

 

プランシェ:かつてのダルタニャンの従者。第二部以降は人気食料品店の店主としてパリ市街の顔の一人に。二十年の間に一時従軍して戦いの基礎を学び、その後は反体制のフロンド派でリーダーの一人に選ばれるなど、多方面での才覚が見事に開花した。

 

スタイルは「器用」。主に別行動となるが、ダルタニャンへの忠誠心は全く薄れておらず、実に上手く立ち回って彼をサポート。お金は大好きだが身を滅ぼすようなことはなく、最終的にはひと財産築いて美人な妻と隠居した。物語を通して最も平和に成功した一人である。

 

 

グリモー:アトスの従者。かつての飲酒事件の共犯。その後ははっちゃける描写もなく、アトスとラウルの親子へ二十年前と変わらず寡黙な忠誠を貫く。実にいいキャラをしているのだが、なんと無口キャラは作者デュマが行数を稼いで原稿料を儲けるためだったらしい。あんまりである。

 

スタイルは「仕事人」。既に相当な年齢のはずだがそれを感じさせず、頼まれた仕事は必ず遂行する特殊工作員の如き活躍を見せる。推定70歳近くながらアトスと二人で民家に籠城しキルを連発するなど、四人の従者の中でも特に戦闘や隠密活動においてその有能ぶりが際立ついぶし銀。

 

 

ムースクトン:ポルトスの従者。貴族っぽい名前がいいので「ムストン」と呼んでほしいらしいが、すぐ地の文もムースクトンに戻った。主人同様に陽気で人懐っこい性格であり、彼が大富豪となった恩恵を存分に享受。美食の限りを尽くしてでっぷりと太ってしまい、第三部では荷車の荷台が埋まってしまうほどの巨漢になった。豪邸での安穏な贅沢暮らしが永遠に続くことを願っていたが、ダルタニャンがポルトスを戦地に誘ったことで嫌がるムースクトンも強引に同行させられる。

 

スタイルは「癒し」といったところ。もっぱら主人と共にムードメーカーの役割を担うが、意外なところで一味の危機を救うこともあった…ような気がする。気が小さく心配性で、海上で遭難した一行が食料の危機に陥ったときは、真っ先に焼肉にされて食われるのではないかと怯えていた。

 

 

バザン:かつてのアラミスの従者。元から坊主で、アラミスが銃士を引退して神職に就くのを願っており、銃士たちとの付き合いをよく思ってなかった節がある。自らも寺院の職に落ち着くが、それ以降はダルタニャンにアラミスの行方を尋ねられてうだうだと文句を付けたり、子供を使いっ走りに出したりするくらいしか出番がなかった。

 

スタイルは「無能」。従者組の中で一人だけ全く活躍の場面がない。かつても戦闘に置いて真っ先に脱落するなど役立たずの烙印を押されていたが、二十年の間に才覚を存分に発揮して出世しまくる主人に完全に置いてけぼりを食らう。当時、アラミスが法王になったら自分は枢機官くらいにはなれるだろうなどとほざいていたが、主人の方はもうこいつのことなんて忘れてるんじゃないかというくらい話題に上がらなくなった。

 

 

ルイ十四世:逝去した先王ルイ十三世の後を継ぐ新時代の王者。第二部開始当初はまだ幼さが残っており、新たな枢機官マザランの傀儡にされていた。第三部序盤でも己の無力を嘆いており、ダルタニャンからも愛想を尽かされて辞表を出されたりと散々だったが、マザランの病死を機に覚醒。徐々に国王らしさを増していき、親政による王道を進むこととなる。

 

スタイルは「我儘」。王となった自分はこの世の全てが思い通りになると信じ、部下に「不可能は禁句」とパワハラを押し付けていたが、MCダルタニャンに度々諫言ラップで手痛くわからされる。寛容ぶっているが実際は狭量そのもの。また女性に惚れっぽすぎる悪癖があり、王妃(空気)を蔑ろにして王弟妃アンリエットと熱愛を始めたかと思えば、その日の夜には王弟妃の侍女ラ・ヴァリエール嬢に一目惚れして乗り換える始末。しかもこの侍女、周囲の目や嫉妬を疎んだ王と王弟妃が皆の目を逸らすために見せかけの恋愛相手として選んだ隠れ蓑の予定だったのだが、国王は即堕ちしてしまったのだからまさにミイラ取りが何とやらである。

 

先述の通り、第8巻「華麗なる饗宴」9巻「三つの恋の物語」はルイを中心とした宮廷周りのメロドラマがねっとり続くのだが、高速で読み飛ばして何ら問題ない。ひたすら風景がいかに美しいかだの、あなたはギリシャ神話の女神だのの話にページが割かれているので真面目に読まなくていい。本編のエピローグでは件のラ・ヴァリエール嬢からさらに乗り換えて性悪侍女とくっついており、最早何も言うことはない。

 

そんな困った王様だが、ラップマスター・ダルタニャンに度々噛みつかれながらも彼を重用しているうちに、その技術と屁理屈をラーニング。終盤にはついにダルタニャンをも凌ぐラッパーとしての才能をも開花させ、晴れてaka.無敵王となった。

 

 

太后アンヌ・ドートリッシュ:ルイ14世の母。第一部からの皆勤賞の一人であり、四十代になってもその美貌は見る人を惹きつける…らしい。その美貌と権威を誇る傲慢さと共に恋多き女性でもあり、かつては夫であるルイ13世そっちのけでイギリス軍の指導者バッキンガム公爵と遠距離恋愛に燃えていたが、彼や夫の没後は寂しさから身近に情愛を求めたのか、枢機官マザランの愛人(作者曰く「情婦」)となった。

 

スタイルは「憤怒」。とにかくシリーズを通してブチ切れてる描写が多いお人。ナメられるとすぐにキレるタイプで、その度に長々としたリリックでいかに相手が無礼かをなじる。恨みや昔の恋はいつまでも引きずるくせに、恩人である四銃士のことは忘れてたりするから始末に負えない。当然立場が下であるダルタニャンにもキレるが、ラッパーとしての技量は彼に軍配が上がるため、容易に丸め込まれてしまう。一方、第三部では若い世代の色恋沙汰があまりにも激しすぎるためか、またその身を冒した癌のせいか、呆れつつも事態を(強引に)収束させるシーンが見られる。とにかく話を引っ張る力だけはすごく、シリーズを通した影のMVPとも言える。

 

 

マザラン:第二部から登場する新たな枢機官で、ダルタニャンの上司。非常に陰湿で疑り深い性格で、国王を傀儡に、太后を愛人にすることで宮廷を掌握。ただし国民からは忌み嫌われており、その悪政によって反体制フロンド派との内戦を招いた。

 

スタイルは「ドケチ」。臣下への褒賞や政策への投資を惜しまなかった前枢機官と違い、とにかく出費を少しでも削りたがる狭量な性格で、常に自らの蓄財にのみ腐心する。陰険でねっとりとしたラップを得意とし、延々と回りくどく語って相手をイライラさせるが、ついにダルタニャン達にわからされる。

 

権勢を誇っていたものの、第三部では病魔に冒されており、序盤に没する。今際の際まで私財の行く末だけを文字通り必死に案じており、そこでのやりとりは必読。こんなのでも国王は教師としてある程度慕ってもいたようで、遺言として彼に「摂政を置くな」という金言を残し、親政の道を向かせることとなった。作中屈指の名バイプレイヤーである。

 

 

モードント:第二部に登場。第一部で銃士たちと対決したボスキャラ・妖婦ミレディー(スタイルは「魅惑」)の忘れ形見にして、シリーズ通して最凶の敵。ウィンター卿とイギリス王によって貴族の家督を剥奪され、修道僧に成りすまして放浪していたが、その正体はイギリスの宰相クロムウェルの懐刀。幽鬼のようなオーラを漂わせた風貌を持つ異様な男。

 

スタイルは「復讐鬼」。口数は少ないものの、内側には母と己の仇への憎悪が煮えたぎっており、若干二十代前半ながら復讐の完遂以外には何も求めない潔さ。第二部はこいつの章と言っていいほどに物語を牽引、圧倒的な殺意を持ってキルスコアを重ねながら、執拗に銃士たちを付け狙うキリングマシーンだ。武と謀の双方に優れており、四人の銃士を相手に大立ち回りを演じて無事に撤退したり、あと一歩で全滅の危機まで追い詰めたりと、八面六臂の大活躍を見せた役者。

 

 

ウィンター卿:イギリスの貴族で、ミレディーの義兄。第一部から登場し、決闘を機に銃士たちの友人となる。当初はバッキンガム公爵、二十年後はチャールズ一世に忠誠をもって仕えるが、どちらも不幸にして早逝してしまう。

 

スタイルは「しくじり」。決して無能ではないと思うのだが、牢獄でミレディーを煽っていたら信頼していた部下を誘惑されて脱獄&公爵を暗殺されたり、二十年後もやらかしたりと、とにかくしくじり先生な描写が目立つお人。俺は好きだよ。

 

 

ボーフォール公:第二部から登場。枢機官マザランと折り合いが悪かったため、バスチーユ牢獄に囚われている王族。しかし素行が悪く、典獄や看守をほとほと困らせている。

 

スタイルは「奇行」。刑務所の壁にマザランを風刺する絵を書いたり、ネズミに芸を仕込んで同氏を小馬鹿にしたりと、獄中にありながら有り余るエネルギーで奇行の限りを尽くす。第一部から引き続き、デュマはつくづく刑務所のシーンが好きなようだ。我々は何を読まされているんだろう…と思ったあたりで、アトスが彼をフロンド派の旗印とするために送り込んだ特殊工作員グリモーによって脱獄。その方法はクソデカミートパテに縄梯子と凶器を埋め込んで持ち込むというメチャクチャぶりだった。

 

脱出後は一転して全く出番がなくなっていたが、第三部終盤、読者のほとんどが忘れた頃に再登場。あろうことかアフリカ遠征という死のプロジェクトをぶち上げ、彼の地で散っていった。出てきては周りを振り回す、奇公子は最後まで奇公子であった。

 

 

ローシュフォール:第一部から登場。物語の初めからダルタニャンと因縁があり、当初は最大の敵と目されていた。彼はその姿を見かけるたびに激昂して立ち上がった程である。

 

なのだが、スタイルは「空気」。第一巻の時点ではしばしば姿を見せ、ボスキャラとしてこの上なく美味しいポジションのはずだったのだが、その後はとにかく異常に出番が少なくなる。第一部ではミレディーに全部見せ場を奪われ、エピローグで数行「ダルタニャンと三度決闘した末に親友になった」と触れられたのみ。続く第二部では、フロンド派の指導者の一人として一万人バリケードを築くなどの活躍を見せたが、途中から再びフェードアウト。次に現れたのは銃士隊と民衆の乱戦の最中で、ダルタニャンが次々に暴徒を斬り伏せていたと思ったらローシュフォールも斬られていた。「四度目だな…」と潔く死んでいったが、あんまりにもあんまりである。

 

 

コルベール:第二部終盤から登場し、第三部で活躍する財務監督官。マザランの腹心にして死の際に指名した後任であり、美形揃いの作中にあって人相が悪く根暗っぽいと繰り返し言及される。その風貌通り何を考えているか分かりづらく、冗談を好まない陰気な性格。とにかく数字に強い根っからの財政屋さん。案の定ダルタニャンとは馬が合わず、度々ギスギスする。

 

スタイルは「倹約」。マザラン以上の凄まじいドケチさを発揮し、ねっとりした策略によって財務卿フーケを弱体化させながら国庫に金を貯め込んでいく。何度も追い込まれつつも、その度に冷や汗をかきながら切り抜けて出世。国王に次ぐ権力を得るが、実はその志と敏腕は真にフランスの発展のためだけにあり、一切私腹を肥やすことなく軍備増強をはじめとした各種投資に勤しんできたことが最後に明かされる。ここに至ってはさすがのダルタニャンらも感心し、ついに和解するに至った。

 

 

フーケ:第三部から登場した財務卿。形式上はコルベールの上司にあたり、枢機官マザラン亡き後の実質ナンバーワン政治家。登場時、その総資産は日本円にして1500億円(1960年当時。現在はその7〜8倍程度=1兆円over!)以上と語るシーンがあり、没時に語られたマザランの遺産が400億円(現代にして3000億円)だったことと比較してもその財力は圧巻。フリーザ様の戦闘力のようなインパクトと共に最強の大物として登場した、はずだったのだが…。

 

しかし、彼のスタイルは「貧乏くじ」だ。たくさんの友人に囲まれ、褒賞や贈り物をケチらない気前の良さを備えているフーケは作中きっての好人物として描かれ、ダルタニャンもその人柄を認めてお互い友人として付き合いたがるほど。陰キャのコルベールとは違い、その大物らしい振る舞いと真面目さによって勢力は盤石…と思われたのだが、この気風の良さが裏目に出る。わがまま大王ルイ14世がたびたび祝宴を開きたがるようになり、コルベールの入れ知恵もあってその費用を財務卿に奢らせまくったのである。

 

その他にもあらゆる費用をオールオッケーで持ちまくったために、あれだけあったフーケの財産は次第に目減りしていく。それでも見栄を張り、主人として一流のホスピタリティ溢れる饗宴を催し続けたフーケだったが、ついには全ての財産を召し上げられて没落してしまう。しかし、彼もまた玉座を簒奪しようなどという野望を持ってはおらず、心からの忠誠によってルイ14世に仕えており、王の危機に際しては力の限り奔走した。アラミスと結託して陰謀に手を出したりしたものの、ここ一番というところで人の良さが災いし、悪人になりきれなかったフーケ。彼もまたわがまま王の最大の被害者であり、本作に欠かせない名役者であった。

 

 

ラウル:別名ブラジュロンヌ子爵。こちらは第三部を通してのタイトルになっている。アトスの養子として英才教育を受け、その誇り高い貴族道を受け継ぐ。アトス譲りの美男子であり、剣の腕も抜群。かつての銃士達の美化されたカッコいいエピソードだけを聞いて育ったため彼らに憧れており、特にダルタニャンには度々助言を受けたりしている。が、そのせいでラッパーに憧れるようになってしまったのだろうか、ラップシーンこそ少ないが、その際はダルタニャン譲りの見事な切れ味を見せた。

 

だが、無情にもそのスタイルは「不憫」である。戦功を得て名を挙げていた一方、同郷出身で彼女が7歳のときからずっと想いを寄せていた許嫁のルイズ=ラ・ヴァリエールを国王に寝取られてしまい、しかもそのことを出張先のイギリスで知らされる。アトスによって純粋すぎるほど純粋に育てられてきたことが今回ばかりは災いし、相思相愛のはずだった幼馴染から直接心変わりを告げられたことで半ば精神崩壊。自暴自棄から立ち直ることはできず、最後は名誉ある死に場所を求めて奇公子ボーフォール公のアフリカ出征に同行した。彼こそ作中一の不憫王子だ。

 

 

ギーシュ伯爵:ラウルの親友で、彼に劣らぬ美形。脇役のはずだが、後述の理由によってむしろラウルより出番が多かった気がする。第二部で初陣を共にした時からの同期のような間柄で、歳上に接することの多かった彼にとって貴重な友人となった、のだが…。

 

厄介なそのスタイルは「思春期」。王弟との結婚のためにイギリスから凱旋した(後の)王弟妃アンリエットにベタ惚れしてしまい、見ているこっちが恥ずかしくなるような中学生男子ムーブで恋のライバル達と火花を散らす。そのなりふり構わぬ姿はさぞ彼女の自尊心を満たしたことだろう。嫉妬する王弟と陰険な腰巾着によって一度は追放されたが、わずか二週間で舞い戻り、道化となるのも厭わず再び恋の舞台にリングイン。ついには王弟妃のハートを射止めた模様だが、ラウルは最後までその行く末を心配していた。恋に盲目になりしょうもない相談を繰り返しながらも、友の誇りのために決闘するなどその友情は衰えておらず、またここぞという場面では愛する人にも苦言を呈する男気も持っている、愛すべき男。

 

 

バッキンガム(子):第三部から登場。イギリスの貴族で、第一部で太后と遠距離大恋愛にうつつを抜かしていたら暗殺された提督バッキンガム公爵の子。父の恩人である銃士達には憧れていた模様。王弟妃の凱旋行軍のお供を務めた。

 

スタイルは「当て馬」。凱旋行軍において、俺の方が先に好きだったのに、と王弟妃に一目惚れする男たちを牽制し、彼女の歓心を買ってその眼差しだけでもゲットしたいと奮闘するが、ラウルのラップによってそのあまりの必死さを一行の前でdisられ、生き恥を晒す。が、あまりの完敗ぶりが爽快だったのか、ラウルとはなぜか親友になった。その後もフランスに居座り、王弟やギーシュと恋の小競り合いを続けるが、ブチ切れた王弟が太后に泣きついたことでイギリスへ送還。心が折れたのか、「さようなら永遠に(フォーエバー)」と言い残して帰国。帰り道には半ばヤケクソになってラウルの代わりにワルドと決闘した。父から盲目さを受け継ぎながらもその器は及ばなかった、不憫な男だ。

 

 

ワルド子爵:第三部から登場。ラウル、ギーシュ、バッキンガムらと同世代の貴族で、同じく凱旋行軍の護衛を務めるが、ラウルとは仲が悪く何かと突っかかる。特にダルタニャンの悪口をよく広めようとしているが、その理由は彼の過去にあった。なんとこの男、第一部でダルタニャンに(半ば追い剥ぎのような形で)決闘を挑まれて敗北したミレディーの愛人、ワルドの息子だったのである。

 

スタイルは「卑屈」。父からよほど悪口を聞いて育ったのか、ねちっこくラウルをdisったりダルタニャンの悪口を言って怒らせる。が、剣の腕では彼に及ばず、終いにはダルタニャン・アトスとの直接対面で最強コンビによる論旨すり替えラップを食らってしまい、惨敗した。いてもたってもいられなくなり、バッキンガムの帰国を途中まで送り届けることになったが、ムシャクシャして決闘したい気分だったので浜辺で彼と誰得な激闘を演じた。また、帰ってくるや否や性懲りもなくルイズ=ラ・ヴァリエールの心変わりをネタにその場にいないラウルをdisり、激昂したギーシュと決闘。彼に深手を負わせるも、力及ばず死亡した。父親が空気なら息子も小物、モードントのような巨悪とはなれなかった。

 

 

王弟妃アンリエット:第三部から本格的に登場。イギリス王室からフランス国王の弟のもとへ嫁いできた。作中の男性陣によると、容姿は絶世の美女というよりは少し崩れた感じで愛嬌のある顔…らしいのだが、洗練された思わせぶりムーブによって周囲の男を片っ端から勘違いさせていく最強のサークルクラッシャー、いや宮廷クラッシャー。

 

スタイルは、あえて本編の言葉をそのまま使うのであれば「コケット」(色っぽい、男にモテる女性)。その振る舞いには作者の異様なこだわりを感じる。結婚したはずの王弟を嫉妬させ、ギーシュ・バッキンガムらイケメンをメロメロにし、挙げ句の果てには国王ルイ14世までをも誘惑して虜にしてしまった…が、前述の通り人々の目からの隠れ蓑として己の侍女ラ・ヴァリエールを選んだのがケチのつきはじめ、国王は一瞬で18歳の小娘に心変わりしてしまう。その様を目の当たりにすると、全ての男性が自分を愛していないと気に食わない、最強の権力者には私こそが相応しいと言わんばかりの嫉妬の業火を燃え上がらせ、あの手この手を尽くしてラ・ヴァリエールを攻撃した。が、国王の庇護と多くの協力者の手によってこのカップルを破壊するには至らず、キーッ!とハンカチを噛みながらギーシュで妥協した。(一応愛してはいるそうだが)

 

 

ラ・ヴァリエール嬢:別名ルイズ。第二部から登場するが、本格的な出番はなんといっても第三部。ラウルより6歳ほど下の幼馴染で、彼と遊んでいた際ふとした拍子で足に怪我を負い、今も若干の不自由さが残る。大貴族の生まれというわけではなかったが、友人モンタレーの機知によって、王室付きの侍女となる。(その足のこともあり、ラウルはいつか彼女を幸せにすることを誓っていたのだが…)

 

彼女のムーブについてはここまでも散々触れてきているが、そのスタイルは「お涙頂戴」。当初は家柄や足のこともあって貴族たちからは範囲外と見られており、本人も一途に遠くのラウルを想っていたはずだった。しかし、女子会で国王ってカッコいいよねーみたいなことを話してたのを本人に聞かれたのがきっかけで急接近、一目惚れされた国王に「私もお慕い申しておりました」みたいなことを言ってしまい、その後は王様いけませんわ〜とか言いながらも公然の愛人となる。

 

王の権威を傘に着るようなことはしない一方、自分をやたら悲劇のヒロインぶるというどうしようもない癖があり、とにかく誰に対しても泣きまくって赦しを乞う。噂を知って追ってきたラウルに対しても、王様と愛し合ってるのごめんね、でもあなたも少しは悪いんじゃない、だから罪深い私を許して、許さなくても忘れて、みたいなことを延々と吐きながら泣き落としにかかった。その様がかえってラウルを絶望させたことは言うに及ばず、悪意なく無意識に傷口にハバネロを塗り込む本物の邪悪と言える。その振る舞いをダルタニャンによって断罪されたのだが、実は彼も国王との復縁に一役買っていたのにそれをなかったことにしてラウルの肩を持つ厚顔無恥さには拍手しかない。彼女も最後の最後には国王の愛を失い乗り換えられるエンドとなったが、心中いかばかりか。あんたちょっといい女だったよ、だけどズルい女。

 

 

モンタレー:ルイズの幼馴染。第二部では顔出し程度。ませた少女で情報通を気取っており、華やかな宮廷のメロドラマに憧れていたことから侍女として仕えることを画策、見事に王弟妃付きのポジションを得る。

 

スタイルは「撹乱」。これまた噂好き・工作好きな王室使用人の彼氏マリコルヌと結託してフランス王室の色恋事情を隅から隅まで掌握し、裏から好き放題に掻き乱す。ラウルとルイズの良き幼馴染だったのも過去の話、裏であれこれ糸を引いた末に特に断罪されなかった彼女こそが真の悪女と断言してもいいだろう。

 

 

いかがだっただろうか。この他にも泣く泣く割愛したかわいい脇役(etc.王弟・スタイルは「嫉妬」)などもたくさんいるのだが、明確なスタイルの持ち主かつエピソードのインパクトという観点から、今回は上記までに絞らせていただいた次第である。

 

このようなふざけた記事で果たして本作の魅力の一部でもお伝えできたかどうか、それについては全く自信がない。ただ、少なくともここまでの熱量を持って語らせるだけの傑作コンテンツであり、その輝きは刊行270年余りを経た今でもいささか失われていないどころか、ますます眩しさを増していることは、きっとお分かりいただけたものと信じたい。

 

また、本稿ではあえてクソみたいに露悪的な擦りに終始し、本作の欠かせない魅力の一つであるエモーショナルな側面、キャラクターの苦悩する場面の素晴らしさや友情模様の尊さなどについて語ることは避けてきた。また、数々の陰謀やダルタニャンたちが挑んだミッションの詳細も割愛している。そのあたりについては、私の解説などは野暮であり、この記事をフックとしてご興味を持った方がおられたら、本作の真髄として直接お読みいただくのが何よりだろうと思ったためである。決して記事として映えないからでも面倒だからでもない、決して。

 

繰り返し誓って言うが、本作は決して勢いと笑いだけの作品ではない。キャラクターたちの熱い生き方に感情移入することもできるし、当時のフランス情勢や王侯貴族の生活に思いを馳せる楽しみ方もできるだろう。いわば、非常に懐の広い、多様な楽しみ方ができる作品だと言える。それこそが、ダルタニャン物語が時代を超えて多くの人に愛される名作たる、何よりの理由だと、私は確信している。

 

もし少しでも気になった方がいらっしゃったら、第二部以降の書籍こそ絶版になっているものの、電子版の入手は容易くお値段も手頃であるので、手に取っていただけたらこれこそ望外の喜びである。

 

その折には是非、私とダルタニャンのやらかした罪状や珠玉のラップテクニックについて、語り合おうではないか。

 

 

 

 

 

 

 

もがき

もがき、ってひらがなで書くとなんか違和感あるな、とか思いました。

 

ここのところずっと、苦しくなってはブログやらTwitterに吐き散らし、落ち着いたらツイートを消したりブログを下書きに戻したり、ということを繰り返している。

 

落ち込んでいるときと元気なときの差が激しすぎると自分でも思う。オオカミ少年のようになって、そのうち誰も話を聞いてくれなくなるのかな、とか悩んだりしている。

 

ただ、辛いときは本当にきつくて、押しつぶされたように苦しくなって、布団の中で手を動かしたり寝返りを打ったりするのもままならなかったりする。何も明るいことが考えられなくなって、絶望的な気分に支配され、すぐ疲れて横になってしまう。それがどうしても苦しくて、何かにすがるような思いでつい甘えたことを書いてしまう。

 

そのくせ、回復したら平気な面をしてラーメンがどうの、読んだ本がどうの、ゲームがどうのとツイートしている。自分でもどうかと思う。

 

ただ、嘘で元気だと書かないのと同じように、回復したのにいつまでも暗く振る舞うようなことはしてはいけないと思っているし、余計な心配をかけてしまうことにもなるので、最近は元気になったら元気になったなりの話をするようにしている。ありがたいことに、元気があってもなくてもその時なりの話をしてくれたらいいです、と言ってくれる人も何人もいて、すごく救われた気分になった。そういうわけなので、これが不愉快な人には重ね重ね申し訳ないが、距離を取ってもらいたい。

 

うつの波がすごくて苦しいときは、毎回今度こそダメかもしれないなと思いながら這いつくばっているし、明日の朝が来ても動けるかどうか分からない、いつまでも良くならないかもしれない、という恐怖でいっぱいになっている。

 

そこから回復したときは、まだ自分にも生きる気力が残っていたのか、と心底ほっとする。一方で、これじゃあ寛解はいつになるか分からないな、という気持ちは毎回強まっていく。こんなことを、もう何度も繰り返している。

 

心が追い詰められているときは、とにかく誰かに話しかけてほしい、孤独感を消してほしい、という気持ちが抑えられなくなる。そういうとき、ありがたいことにリプやDMをくれる人もいて、すぐに返信できなかったりもするのだけど、全てありがたく読ませていただいている。本当に救われている。そうして、何とか気持ちを少しでも落ち着けて、どうにか眠っている。

 

親しくしてくれている人、これまでに優しくしてくれた人、いいねを押してくれた人に、ちょっと今弱っているので助けてください、労ってください、何でもいいので返信ください、とすがってみようか、甘えてしまおうか、と思うこともある。ただ、きっと迷惑だろうなと思うし、みんな忙しいだろうし、もしも拒絶されたらとか考えてしまって、行動に移したことはない。そうしておいて、誰か見ていてくれ、聞いてくれ、と思って連投したりする。本当にタチが悪い。

 

そうこうして、みっともなくもがきながら、何とか今日までやってきた。いつもオオカミ少年にしか見えないかもしれないけど、誰か一人でも見捨てないでいてほしい、と自分勝手に願っている。

 

この先、状況は良くなるのだろうか、それは全く分からない。

 

ただ、いつかは助けてくれた人に恩返しがしたいな、会ってお話ができたりしたらいいな、ということだけは、ぼんやりと考えている。

 

ぼんやりと考えながら、たくさんの薬で病気を抑えつけて、フラつきながらなんとか生きている。

 

 

星野智幸「夜は終わらない」に飲み込まれた話

無我夢中になってページをめくる、という体験は、本を読む人なら誰でも身に覚えがあるだろう。それは小説に限らず、ノンフィクションかもしれないし、漫画かもしれない。

 

自分も、その内容がファンタジックなものか、あるいはリアル志向なものかを問わず、作品の世界にのめり込み、沈み込むように、深く潜るように、外界からシャットアウトされるように夢中になって本を読むことはしばしばある。その至福の時間を過ごすことが、現在の人生における最大の楽しみの一つになっている、とまで言ってしまってもいいくらいだ。

 

ただ、今回の読書は、それらとも異質だった。夢中で読む、というより、長い長い夢を見ているような感触。物語の中に取り込まれて、浸かって、帰ってこれなくなるような不安と、浮遊しているような漂流しているような気持ちよさとが入り混じる感覚。自分がいま物語のどこにいるのか、この物語がどこに着地するのかが全く見当もつかず、けれど目を離すことはできなくて、空想の水の中を先へ先へと泳いでいくような、そんな体験をした。物語の中に取り込まれるような気分になって、500ページ超をほぼぶっ続けで7時間近くも読み続けてしまった。(シンプルに読むのが遅いというのはご容赦いただきたい)

 

前置きが長くなりすぎてしまったが、そんなわけでタイトルの通り星野智幸「夜は終わらない」を読んだ。もともと、杏&大倉眞一郎の「BOOK BAR:お好みの本、あります。」で取り上げられているのを読んだのがきっかけで、その奇怪な紹介が記憶に残っており、新規開拓にこれ幸いと手を伸ばした。

 

ここから簡単にあらすじ、解説じみた感想、個人的な感想、という感じで続くので、断固ネタバレを避けたいという方はいつも通り随時閉じていただければ幸いだ。ただ、今回はあんまりネタバレ要素ないと思う。バレのしようがなかったというか。(ラストまで書いたところで加筆しました)

 

 

 

いきなりだが、本作の主人公は連続殺人鬼の女性である。といってもこれは重大なネタバレではなく、開始早々にそのことは明かされる。女のある異常性と共に。

 

女、玲緒奈は(主に)金のある男の心の隙に入り込むように接近し、自分に夢中になるよう手練手管の限りを尽くし、結婚まで匂わせて金を搾り取った挙句、男を殺害し、証拠を隠滅する。と、ここまではよくある話なのだが、こいつの異常さは相手を殺害するその直前にある。

 

玲緒奈は、昏睡させて抵抗能力を奪った男に語りかける。私の気持ちを懸命に想像し、私が夢中になれるような素晴らしい物語を聞かせろ。私が満足すれば、お前の生きる価値を認める。満足できなければ、お前はそこで終わりだ、と。

 

まるで「千夜一夜物語」のようだが、死に直面した男からそうそう見事な話が出てくるはずもなく、玲緒奈は今回も不合格か、という落胆と共に哀れな男を手にかけていく。

 

次なるターゲットは、同棲相手の男クオン。いつものように睡眠薬を飲ませて拘束したクオンに、玲緒奈は生き延びたければ物語を紡げと迫る。しかし、そこで飛び出したクオンの物語は世にも不思議で、とても魅力的な内容だった。

 

玲緒奈は夢中になって聞き入るが、「物語の時間は夜だけ」というクオンは、夜明けと共に話をやめてしまう。憤る玲緒奈と、しかし頑なに譲らないクオン。こうして、初めて玲緒奈は「続きはまた今夜」という展開を迎えることになった。そしてそこから、クオンの口より流れ出す物語は、玲緒奈をどんどん強く引き込んでいく……。

 

というのが、本作のあらすじである。

 

それでは改めて、軽い説明じみた感想に移りたい。

 

まずは何と言っても、主人公の玲緒奈だ。あらすじで書いた内容だけであれば、ただのサディスティックな異常殺人者なのだが、作者はそれだけでなくこのキャラクターをリアルな質感のある人間として描くために、内面や行動の描写に工夫を凝らしている。たとえばそのうちの一つが生活感だ。玲緒奈は男を取り込む手段として以上に料理に対して強いこだわりを持っており、何度か食事を作るシーンが出てくるのだが、それが実に詳細に描写されており、美味そうな様子がこちらにまで伝わってくるのだ。料理へのこだわりと殺人者としての異常性というアンバランスさは実に奇妙なアクセントで、たとえばそれは「殺人に使う木炭の扱いに慣れるために七輪を買い、自宅で炭火焼き料理を繰り返して、念願だった焼き鳥やうなぎの蒲焼きを習得することができ、一石二鳥だった」というエピソードの異様さにも表れている。

 

加えて、スーパーで買い出しをするシーンでも、生鮮食品を買うだけに留まらず、マルちゃん正麺の豚骨味だとか、にんべんのつゆの素だとか、永谷園のあさげ徳用十食パックだとか、フジパンの「本仕込」だとか、買うもの一つ一つがいちいち細かく、凄まじいリアリティを感じさせる。自分は化粧品に明るくないので詳しくは分からなかったが、たとえば洗顔をして保湿するシーンでも同様にどのメーカーの何を使うかが事細かく描写されており、まるで実在する人間かのように生活の質感をこれでもかと伝えてくる。こうした、凶行に及ぶ彼女の姿からはおよそかけ離れているように思える描写の数々によって、読者は玲緒奈に対して嫌悪感と親近感の混ざったような、奇妙な共感を持つに至るのである。

 

尚、ここでは玲緒奈を形作る非常に重要な要素について、あえて触れずにおいた。それについては是非本編をお読みいただきたいのだが、個人的にはそれに関係するシーンでモロに馴染みの場所が出てきたこともあって、彼女にやたら親近感を持ってしまった……脱線失礼しました。

 

続いて、なんと言ってもクオンの語る物語パートについて。構成的にもここが本作のメインであると言って差し支えない。が、これがまた非常〜〜に癖の強いことになっており、ある話の登場人物がまた話を披露し、その話の中の登場人物がまた話し出し…という具合に、物語が多層的な入れ子構造になっているのだ。一つ一つの物語は、寓話的であったり、神話かおとぎ話のようであったり、示唆めいていたり何かの暗喩のようにも読めるが、作り話や喩え話といった体を取ることもあり、散りばめられた各要素の真偽や結末については不透明な部分が多い。舞台となる場所や時間は実に多彩なのだが、それだけでなく空間も時系列も曖昧であったり、あやふやであったりと、不確かな要素がどんどん出てくる。しかも極めつけに、複数の話に共通して出てくる符号めいた登場人物や単語まである。こんな有様なので、読者も「今自分は何の話を聞かされているんだ?」と混乱すること請け合いである。

 

別の言い方をすれば、読者は本作の500ページ超を進む間のほとんど、常に足場の不安定な、見通しの立たない中を歩き続けるような体験をすることになる。この独特の感覚を快感と取るか不快感と取るかについては、これはもうその人の好みによるとしか言えない。

 

で、じゃあ自分はどうだったかという話になるのだが……もうここまでのテンションでお分かりの通り、どハマりした。クオンの物語にのめり込み、夜以外の時間を全て余計なものに感じていった玲緒奈のように、もう何もかも放り出して没入してしまった。自分は一気読みしたが、あるいは作中と同じペースで一日1エピソードとかいう読み方でも良かったのかな、とも思った。思ったがしかし、作中でひたすら引きこもって寝て昼を過ごした玲緒奈と違って、読者は日常を送る中で熱が冷めそうな気もするし、逆に続きが気になりすぎて支障をきたす可能性もあるので、やはり一気読みがいいような気もする。

 

一方で、ここがダメだ!と声を大にするわけではないが、小説としての完成度、完璧さといった観点から語る場合、本作にはかなり疑問符が付くかもしれない。まず上述したように、大部分を占める語りの部分が相当に支離滅裂で、複雑とまではいかないがかなり怪奇な様相を呈している。言ってしまえば破綻している。加えて、物語の畳み方もあっさりしすぎているというか、もっと説明してくれ!と思うところが非常に多い。意味ありげな伏線のように思えたものの山は特に回収されず、訳ありのような登場人物たちはよく分からないまま消えていったりする。全体的にエピソード構成のバランスがおかしいようにも感じるし、ラストを含め解釈に任される部分が多すぎないかとも思う。

 

だが、言ってしまえば本作はそういう物語なのだ。作り話の登場人物が、作り話を語る。不思議な世界の住人が、別の奇妙な世界の出来事を語って聞かせる。そんな有様なのだから、もう原理原則も整合性もへったくれもないのだ。そういうわけなので、起承転結ちゃんと筋道立てたストーリーを読んで謎が全て解決してスッキリ!というのをお求めの方には、正直オススメしかねる。途中でキレるか、読み終わった後ぶん投げるかされてしまうかもしれない。

 

と言いつつ、自分もどちらかといえば、というかかなり、そっちの側だと思っていた。全てがハッピーエンドじゃないにしても、提示された謎や伏線は片付いてほしいし、スッキリ読み終わりたいと思っている。そうでないように見受けられる作品は遠ざけてもきた。

 

じゃあ自分にとって何がそんなに刺さったのか、というと、陳腐な言い方ではあるが本書の読書体験そのものだった、ということになるだろう。次々に展開していく奇妙な物語、異様な場面設定と登場人物、文字で綴られるそれら全てに対して想像力の限りを尽くしながら、先行きの見えない不安と共にページをめくり、更に不安を強めながらも、物語に引き込まれ、飲み込まれて、流されていく。クオンの語りの続きを待ちかねて白昼夢を見ていた玲緒奈のように。

 

そう、この小説を読んでいる時間は、月並みではあるがまるで夢を見ているようなひとときだった。夢を見ているとき、時間と空間は曖昧になり、自己もあやふやに薄れて、他人の像たちもぼやける。そして、破綻している前提や異常な論理をさも当然のように受け入れて、自らも気ままに動いていく。初めて見た夢なのに、いつか同じ風景を見たことがあるような郷愁を覚えたりもする。時には、夢の中で夢を見ることもある。さらにその中で夢を見ることさえも。

 

そうして目が覚めると、細部の記憶はどんどん薄れていってしまう。夢の中でなんであんなに楽しんでいたのかも、何を楽しんでいたのかも、今となっては言葉にできない。

 

けれども、楽しかったことだけは覚えている。途方もなく長い時間のように感じられた夢の細部はほとんどこぼれ落ちて、その景色も朝日に溶けていったとしても、「なんだか楽しい夢を見た」ということだけは覚えているのだ。しばらくは……それが永遠ではないとしても。

 

「夜は終わらない」は、そんな読書体験を提供してくれた、初めてにして自分にとって唯一無二の作品であった。

 

この奇妙で素晴らしい作品に出会えたこと、そして本作を書中で取り上げてくれた「BOOK BAR」には、心から感謝したい。