灰色の殴り書き

昔の言葉で言うならチラシの裏です

矢印依存症(自分語り・中編)

前編から続く自己紹介です。小説でもないのに馬鹿みたいだけど。

 

今回はいつも以上に生理的嫌悪を引き起こす可能性が高いので、本当に本当に何でも笑い飛ばせる人だけお願いします。これを読んで絶交されても、何も文句は言いません。言えません。

 

 

 

どうも、俺はすぐに他人を好きになってしまうらしい。しかも、俺は自分の芯みたいなものがないから、人を好きでいないと自分を保てないということが分かってきた。誰かのために何かをしている時しか、心を落ち着けることができない。

 

その最も大きな対象が家族だったけれど、それが今は壊れそうで、また心が折れてしまいそうになった。

 

去年の四月。もっと頑張れ、他人には頼るな、週5の仕事の後で土日はお前が子供を見ろ、という妻の言葉を聞いていて、この人は俺のことを大切に思っていないのかもしれない、俺が壊れるまで止まらないのかもしれない、一生苦しめられ続けるのかもしれない、褒められることも労われることも感謝されることもなく、頑張りを求められ続けるのかもしれない、たとえ悪意はなくてもそれが変わることはないかもしれない、と思ったら、急に自分が生きてきたこと、やってきたことがバカらしくなって、心が音を立てて折れてしまった。

 

ただ、それでも妻と子以外のために尽くして生きることは選べなかったから、なんとかやってきた。それはもう、終わりかもしれない。子供と離れるのは辛いけれど、自分が生命を守るために。

 

ただ、そしたら今度は別に厄介な問題が浮かんでくる。

 

家族と訣別したら、自分の病的な性質のせいで、多分誰かを好きにならずには、愛さずにはいられなくなると思う。

 

書いていてどうかと思うくらい重たくて気持ち悪い表現だと思うのだけど、本当にそうなのだ。自分に酔っているわけではなく、依存症の告白のようなものだ。恋愛体質だとかいう話ではなく、もっとシンプルで根深いものだ。

 

誰かに向けた矢印に引っ張られていることで、なんとか自分の脆弱な精神を保っている。自らの醜さから目を背けて、熱にあてられて、麻痺していられる。

 

だから、人に甘えるのが怖くて、本音を曝け出すのが怖くて、受け入れてもらうのが怖かった。人に甘えるには、俺は醜すぎるし、申し訳なさすぎると思っていたから。踏み込んで拒絶されるのが怖いから。

 

一方的に頼られるならいくらでも格好つけられたけど、甘えられたら、ダメなところや見苦しいところをもし受け入れてもらえたら、その人のことを多分、好きにならずにはいられないから。

 

相手が男性なら、多分普通じゃないくらい、気持ち悪いくらいにベタベタ仲良くしたがるし、ずっと喋ってしまうと思う。当たり前のように毎週ペースで飲みに行ったりするだろう。部屋に住み着くかもしれない。

 

何より相手が女性なら、本当に申し訳ないし恥ずかしい、子供すぎる、見苦しいとしか言いようがないんだけど、多分、単純に好きになってしまうと思う。

 

たとえそれが恋愛関係でなくても、何かをしたくなって、贈り物をしたり、話しかけたり、どこまでも鬱陶しくなってしまうだろう。

 

それが怖かったから、迷惑をかけて嫌われたくなかったから、人に甘えないようにしていた。

 

誰かに甘えてもらう分には、格好いいことをそれっぽく言って、先輩風を吹かせて頼りになるようなポーズをして、いくらでも心を尽くせたし、どれほど一方的に頼ってくれても、好き放題愚痴を聞かされても、むしろ嬉しかった。見返りを求めるなんて考えてもいなくて、ただ心から嬉しくて、ありがとうしか出てこなかった。

 

でも自分が人に同じことをすると思うと、醜くて、見苦しくて、恥ずかしくて、怖くて、許せなくなってしまう。誰かにそうしてもらったときは微塵もそんなことは思わなくて、ただありがたいのに、自分のことは許せない。

 

書いていると理屈に合わないようだけど、これは前編で書いたように、自分に胸を張れるような魅力がない、価値がないからだ。俺が一方的に、巨大な矢印を相手に向けたとして、相手が同じ熱量で俺を好きになってくれることはない。根本的に俺は人を惹きつけられないからだ。

 

だから、昔も今も人と心を通わせるなんて夢物語で、自分とは無縁の世界のことだ。

 

夢見る女児じゃないんだから、そんなことは当たり前だろう、ロマンチックぶるのは20年遅い、と言われれば返す言葉もない。ないのだが、ずっと誰にも言えなかったコンプレックスのことなので、どんな話でも聞きたいと言ってくれたフォロワーを信じて、こうして生き恥を晒している。

 

俺にできることがあるとしたら、それは最もらしい言葉を並べて、人の気持ちが分かるような顔をして振る舞って、少しでも好きな人たちに覚えてもらおう、記憶に残ろうとすることだけだ。それ以上は高望みでしかないし、トライアンドエラーで迷惑をかけることなんて以ての外だ。そうやって、親しくしてくれる人が離れていったらと思うと、何よりも恐ろしい気持ちになる。

 

ただ、仕事でしているように感情面でも己の無力を受け入れて、俯瞰したつもりで全てをドライに見るには、自分の精神は幼すぎる。だから、相手から何の気持ちも返ってこないのが大前提だとしても、自分に良くしてくれる周りの人たちを好きにならずにはいられないし、それに引っ張られることでしか、個性のない自分を保てない。

 

マジでつくづく面倒くせえ奴だな。