灰色の殴り書き

昔の言葉で言うならチラシの裏です

読書

笑って泣いてメメントモリ〜「生ける屍の死」感想

「すまない、ちょっと死んでたもんで聞いてなかった。もう一回最初から話してくれるか?」ーージェイムズ・バーリイコーン またしても超絶面白い小説に出会ってしまった、という話。 今回紹介するのは山口雅也「生ける屍の死」。発表は1989年。同氏の作品は…

頭の中の言語化装置にまつわるあれこれ

思考が先か、言葉が先か、みたいな話。 これについてのヒントになるような考え方が、昨年読んで気に入った本の中で少し触れられていたのを思い出した。 「自分の〈ことば〉をつくる あなたにしか語れないことを表現する技術 (ディスカヴァー携書)」細川英夫…

キャラクターの好きムーブについて

タイトルの通りのことをただ並べるだけの記事です。具体例があるやつもないやつもあります。 1. 最高ムーブ男四天王編 ・「自分だけ置いていかれた」男 黄金期、全盛期とか言われる仲間たちが死んだりそれぞれの道に進んでしまった中、一人だけそれ以外の生…

それでもいい一年だったと断言する

あと三時間しかないけれど、一年を振り返る記事です。 1月……ひたすら忙しかった。記憶があまりない。 2月……ひたすら忙しかった。記憶があまりない。 3月……ひたすら忙しかった。記憶があまりない。 4月……異動で通勤が復活した。月末にメンタルが死んだ。 5月……

友情謀略ラップバトル立身出世大河群像劇、「ダルタニャン物語」は「三銃士」の後からが面白いという話

『この世の中では、男も女も、そして国王も、現在に生きることが必要なのだ。われわれが未来に従って生きねばならぬとしたら、それは神にたいする場合だけなのだ。』(第11巻「剣よさらば」より引用) タイトルが長い! さて、先日「三銃士はろくでもない奴ら…

星野智幸「夜は終わらない」に飲み込まれた話

無我夢中になってページをめくる、という体験は、本を読む人なら誰でも身に覚えがあるだろう。それは小説に限らず、ノンフィクションかもしれないし、漫画かもしれない。 自分も、その内容がファンタジックなものか、あるいはリアル志向なものかを問わず、作…

三銃士がどうしようもない奴らだった話(A・デュマ「ダルタニャン物語」第一部感想)

信頼するフォロワーが狂ってたのが気になって、町中探し回って「ダルタニャン物語」(アレクサンドル・デュマ著 鈴木力衛訳)を読み始めた。以下、本作についての若干のネタバレを含みます。 本編は11巻にも渡る大作で、そのうち1〜2巻がかの有名な「三銃士」…

アーサー・C・クラーク「幼年期の終わり」が面白すぎて卒倒しかけた

タイトルの通りです。かすかにネタバレあります。 フォロワーから、お互いがハマっているゲームを含めて多くの作品のオマージュ元になっている作品なので是非読んだ方がいい、と言われたのをきっかけに、今日文庫を買いました。 もう、冒頭20ページから引き…

立ち止まって考える、加速の時代の現在地と処方箋〜トーマス・フリードマン「遅刻してくれて、ありがとう」感想

きっかけは、たまたま書店でタイトルが目についたからだった。 「遅刻してくれて、ありがとう。ーー常識が通じない時代の生き方」。遅刻してくれてありがとうとは、変わったタイトルだ。その後帰宅してちょっと検索したら、どうも面白そうだ。というわけで、…

組織で働く全ての人への、正義のエール。今野敏「隠蔽捜査」シリーズ1〜3作目感想

竜崎伸也は警察官僚である。(「隠蔽捜査」文庫版表紙裏冒頭より) 仮面ライダー、本郷猛は改造人間である。(「仮面ライダー」OPより) だいたい一緒だ。 このところ、活字を読むリハビリも兼ねて、大学時代以来10〜11年ぶりに今野敏の小説を片っ端から再読しは…